再就職準備金とは?
介護現場経験のある有資格者が、
介護の現場に再就職するために必要な資金を
無利子で貸与するのが、介護職員の『再就職準備金』です。
もともとは介護職員として勤務していたものの、
現在、介護の仕事から離れている方を対象にした制度です。
再就職のために必要な転居費用(敷金・礼金など)、保育園など子供の預け先を探すための活動費、学びなおしのための講習参加費用や参考図書の購入費、業務に必要な被服費、通勤用のバイクや自転車などの購入費用など、様々な用途にこの再就職準備金を充てることができます。
この『再就職準備金』は基本的には「貸付」という名目ですが、介護の仕事に就職後、
2年間継続して介護職員として従事すれば全額返還不要となります(都道府県によって、年間の勤務日数に制限があるなど、詳細な条件は異なります)。
つまり条件を満たせば、返済の必要な貸与ではなく、返済不要の全額給付という形になる制度です。
都道府県の社会福祉協議会が実施主体となって事業が行われています。
支給される金額は最大40万円!
準備金として貸し付けされる金額ですが、
基本は20万円となっています。
ただし、一部の都道府県では
40万円が準備金として貸し付けされます。これは、特に介護職員の人材確保が難しい地域(14都府県:首都圏・関西圏・東日本大震災の被災地域)に限定して、本来20万円の2倍の「40万円」が貸し付けされることになっていました。
しかし、2020年、新型コロナウイルスの影響拡大により介護の人材確保が必要になったことから、
就職準備金が全国一律で40万円に引き上げられることになったのです。
5月27日に閣議決定された令和2年度第2次補正予算案の成立後、速やかに準備金の金額引き上げが実施される見通しです。
再就職準備金の対象者は?
介護職員の『再就職準備金』は、以下の4つの条件をすべて満たす方が対象となっています。
1.介護職員として1年以上の実務経験がある方
2.介護福祉士、実務者研修、介護職員初任者研修、介護職員基礎研修、ヘルパー1級、ヘルパー2級のいずれかを取得している方
3.介護保険サービス事業所等において、介護職員等として再就職した方
4.介護職員等として再就職する日までの間に、あらかじめ「都道府県福祉人材センター」に氏名及び住所等の届出を行い、かつ、「再就職準備金利用計画書」を提出した方
(厚生労働省ホームページより)
介護職として1年以上の実務経験を持ち、初任者研修など介護に関する資格を持っている方が介護保険サービス事業所に再就職をすることが条件となります。
現在介護の現場で働いていない「潜在介護福祉士」「潜在介護人材」と呼ばれる有資格者が、介護の現場に復帰するように後押しする制度になっています。
詳細に関しては、都道府県の社会福祉協議会が運営する福祉人材センターに確認しましょう。
また、再就職の日までに、都道府県の福祉人材センターにあらかじめ手続きをしていることが条件となりますので、再就職を考えている方は早めに相談することをお勧めします。
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再就職準備金で「即戦力」として転職を!
今回の新型コロナウイルスの流行により、介護サービス事業所での人材不足がさらに深刻になったことから、再就職準備金の金額の引き上げが決定しました。
再就職準備金の意義は、介護の人材確保のためだけではありません。
新型コロナウイルスの感染拡大のため、解雇や廃業などで仕事を失った方も多くいます。その中に、介護の仕事をしていた経験や資格を持っている方がいれば、人材不足が深刻な介護の職場に再就職することで、失業対策の効果も期待できます。
リーマンショックで失業者が急激に増えた際にも、雇用の受け皿として介護分野への転職を促してきた経緯があります。雇用の創出として介護分野に寄せられる期待も大きくなっています。
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介護職員の賃金は介護職員処遇改善加算の拡充・介護職員等特定処遇改善加算の創設などによって、上昇傾向にあります。賃金の安さや将来の見通しが立たないという理由で一度は介護の仕事を離れた人もいるかもしれませんが、現在は介護職員の待遇は改善されつつあります。
この再就職準備金によって、一定の経験や資格を保有している限りなく即戦力に近い人材を介護分野に呼び戻すことが期待できます。
再就職を考えている有資格者側だけでなく、介護サービス事業所側にとっても、人材確保・即戦力の獲得という大きなメリットがあるといえるでしょう。
参考:
離職した介護職員の皆さまへ ~再就職準備金のご案内~