前回21年改定では口腔・栄養アセスメントの拡充をはかったが、今回は医療機関、歯科医療機関との連携に関する内
容が多く盛り込まれている。
具体的には訪問サービス等と歯科医療機関との連携、介護施設での口腔アセスメントの必須化、終末期の利用者に対する居宅療養管理指導の回数引上げ、施設退所時の栄養情報提供への評価などが示されている。
21年改定では、介護施設に入所者個々の口腔・栄養管理を義務づけ(3年の経過措置期間)、栄養マネジメント加
算、口腔衛生管理体制加算を基本報酬に組み込んだ。
その上で、管理栄養士を手厚く配置する「栄養マネジメント強化加算」を新設。計画・記録にLIFEの活用も求めた。
同加算算定施設は、管理栄養士の配置基準がない通所サービスの栄養アセスメント加算、栄養改善加算の外部連携先としても介入することができる。
通所、居住、多機能サービスには、職種を問わず、口腔・栄養状態の把握を評価する「口腔・栄養スクリーニング加算」を拡充。
どのサービスにも低栄養等の重度化を見逃さない網をはり、そして管理栄養士の活動の幅を広げた。
日本栄養士会に「120点」と言わしめた改定だった。
今回の主な改定のポイントは
①口腔管理の連携評価では、介護職員等でも可能な口腔簡易評価の実施と、歯科医療機関とケアマネジャーへの情報提供を要件とする新たな加算を設ける。
厚生労働省は、要介護者が適切な歯科受診・治療につながっていない可能性を示唆。調べによると、要介護者のうち歯科医療や口腔管理が必要な人は64・3%いるが、実際に治療を受けた人は2・4%にとどまる。
歯科医師へ口腔情報を提供しているケアマネジャーは約3割で、提供しない理由で最も多いのが「伝えるべき情報を取得していない」だった。
また②口腔管理の充実は、介護施設に対し利用者の入所時と入所後の定期的な口腔衛生状態・口腔機能の評価の実施を義務づけ。
③口腔衛生管理体制加算の充実は前回改定で介護施設へ実施した、入所者個々の口腔衛生管理の義務化とそれに伴う口腔衛生管理体制加算の廃止を特定施設にも適用する。
3年の経過措置を設ける。同省によると、特定施設の利用者で歯科治療の必要性が認められたのは6割弱。一方で、7割以上の利用者が定期的な口腔状態の確認や歯科衛生士による口腔衛生管理を受けていない(表)。
現行、介護施設や居住系サービスが協力歯科医療機関を定めることはあくまで努力義務であるが(協力医療機関は義務)、これらに取組むことによる連携促進がはかられる。
④終末期がん患者等への対応は、歯科衛生士の居宅療養管理指導の算定上限を月4回から緩和するもの。
頻回な口腔衛生管理への介入により摂食嚥下機能の維持、脱水予防が期待される。
管理栄養士も同様に、一時的に頻回な介入が必要と医師が判断した場合、期間を設定した上で、月2回を超えての訪問が可能に。最期まで食べるための支援を評価する。
⑤栄養管理に関する情報連携は、介護施設の退所時に施設の管理栄養士が退所先の他施設、医療機関、ケアマネジャーへ入所中の栄養情報を提供することを新たに評価。
既に診療報酬では、医療機関が退院先へ情報提供する「栄養情報提供加算」があり、これに近い算定要件が示されると考えられる。
⑥再入所時栄養連携加算は、介護施設の入所者が医療機関に入院し、施設入所中とは大きく異なる栄養管理が必要となった場合に、施設の管理栄養士が医療機関の管理栄養士と連携し、より専門的な再入所後の栄養管理に関する調整、受入れ準備を行った場合を評価するもの。
算定対象者は「入院中に経管栄養または嚥下調整食が新規導入となった入所者」に限定されているところを、療養食が必要な入所者も新たに加える。
算定割合は特養18・8%、老健11・5%など。算定しない理由では「対象者がいない」「管理栄養士が医療機関で指導やカンファレンスに同席することが困難」が多くを占めている。
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