毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「曽野綾子さんの問題コラムに介護関係者の反応」という話題について紹介します。
2月11日付の産経新聞に掲載された曽野綾子さんのコラムに対し、これはアパルトヘイト(人種隔離政策)を容認するものではないか、との批判が寄せられている……報道でこのニュースを見た人も多いだろう。
内容はよく知らないけれど、何か話題になっていたような気がするなあ…という人が多いかもしれない。
結果的にアパルトヘイト問題ばかりが注目されてしまったが、実はこのコラムには「労働力不足と移民」というタイトルが付けられている。曽野さんが日本の労働力不足に対応するためには移民を受け入れることが必要であること、また、その際に外国人は「適度な距離を保ち受け入れる」のが良い、と提案している。
またコラム内では、介護人材としての移民について書かれている。以下は、そのコラムからの引用だ。
<若い世代の人口比率が減るばかりの日本では、労働力の補充のためにも、労働移民を認めねばならないという立場に追い込まれている。特に高齢者の介護のための人手を補充する労働移民には、今よりもっと資格だの語学力だのといった分野のバリアは、取り除かねばならない。つまり高齢者の面倒を見るのに、ある程度日本語ができなければならないとか、衛生上の知識がなければならないとかいうことは全くないのだ。どこの国にも、孫が祖母の面倒を見るという家族の構図はよくある。孫には衛生上の専門的な知識もない。しかし優しければそれでいいのだ。「おばあちゃん、これ食べるか?」という程度の日本語なら、語学の訓練など全く受けていない外国人の娘さんでも、2、3日で覚えられる。>
この部分については、介護関係者からもネット上に批判の声が相次いでいる。
「誤嚥性肺炎や床擦れなどかなり専門的な衛生知識が必要」
「介護職の専門知識とノウハウを舐めてる」
「このような社会の無理解が介護職の離職率を力強く押し上げている」
「介護に専門知識は必要ない、優しければいいとかいってる時点ですでに天文学的レベルでずれてる」
「介護職を軽くみないでほしい」
みなさんもいろいろと思うところはあるだろう。
言うまでもなく、孫が家族として簡単なお手伝いやおしゃべりをするのと、プロが責任を持って介護の仕事をすることは、全くの別物だ。
曽野さんは、介護の仕事の詳細を知らないか、もしくは、外国人を今の介護職と同じ立場ではなく、専門の介護職を補佐する立場、と想定して書いたのかもしれない。短いコラムで、正しく意図が伝わらなかった可能性もある。
ただ、このコラムとその後の騒動が象徴する通り、日本は今後どんどん労働力が減っていき、最も人材不足が懸念されているのが介護業界だ。外国人の積極的な受け入れも決まっている。しかし、移民に関してはさまざまな解釈・さまざまな側面があり、決して簡単な問題ではない。
今後も、介護人材の問題と、移民の問題は、頻繁に話題になりそうだ。
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