毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「介護職員の体力づくり」という話題について紹介します。
介護職員の基本 そのひとつは体力!
どんな仕事であれ体力は必要だが、介護の仕事はまずは体が資本。利用者さんの身体を持ち上げたり夜勤もあるなど、体力がなければ務まらないのが介護職だ。
現場のスタッフたちはどうやって体力づくりをしているのだろうか。
都内の事業所で訪問ヘルパーとして働く女性・Oさんは、趣味と実益を兼ねた体力づくりをしているという。
「もともとスポーツはあまり好きじゃなかったんですが、ヘルパーになると仕事で体を使うので、食べる量が飛躍的に増えまして、みるみる太りました(笑)。
その結果、『動くのが辛くなる → 運動が嫌になる → もっと太る』という悪循環に陥ってしまいまして……。仕事にも差し支えそうだったので、一念発起してスポーツクライミングを始めました」
スポーツクライミングは体が重いと不利だそうで、今では「一時期、びっくりするほど太ってました」というのが信じられないほど引き締まった体のOさん。
訪問先でも「何か運動をされているの?」と尋ねられることも多く、
Oさん 「スポーツクライミングです」
利用者 「スポーツクライミングってなんですか?」
Oさん 「実は、2020年に東京で開催されるスポーツの祭典に採用されているんですが……」
と、利用者との良い会話のネタにもなっているという。
体力づくり“否定派”の意見は?
一方、Oさんと同じ事業所で訪問ヘルパーとして働く男性・Tさんは、マイペースに体力づくりに励んでいる。
「人の世話をしていると、どうしても体の仕組みに興味が湧いてくるんですね。それで、私は非常に体が硬かったので、ホットヨガというものに通うようになりました。
通う前は、『座ったまま手足を伸ばしたり、腰を捻ったりするだけでしょ』なんて思ってたんですが、これが想像外にハードで(笑)。気持ちよく汗をかいて、良い運動になっています」
しかし、「何もしない」という人もいるようだ。主婦として家事をこなしつつ、訪問ヘルパーとしても働いているHさんは、“体力づくり否定派”だ。
「朝起きて、ご飯を作って、洗濯して、掃除機をかけて、そのうえにヘルパーの仕事もしたら、嫌でも体力なんてつきますよ。それで運動までしたら、逆に倒れちゃう(笑)。本当はゆっくりスポーツクラブにでも行きたいんだけど……」
皮肉なことに、Hさんが登録している事業所は体力づくりを推奨しており、スポーツクラブの割引制度があるのだが、Hさんは恩恵に預かれていない。
介護施設の中には、スポーツクラブが経営している所もあるようなので、そういった視点から働き場所を探してみるという方法もありそうだ。