毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「本当にあった呆れる退職理由」という話題について紹介します。
最近の若者はわからない…。驚きの退職理由
時代が変わるにつれて、若者の意識も変わるのは当たり前のこと。
年配者が若者の気持ちを理解できないのは、古今東西どこにでもある話だ。
それは介護業界でも同じで、時には「これが最近の若者なのか……?」と嘆きたくなるような理由で会社を辞めていく者がいるという。
都内の訪問介護事業所で働くハセガワさんは、物腰穏やかな40代の女性だが、つい先日、働き始めて1年ほどの20歳の女性・Aさんの退職理由に、思わず声を荒らげたと話す。
売り言葉に買い言葉。注意されたら「辞めます」?!
「未経験で訪問ヘルパーになったAさんは、働きぶりはマジメで利用者さんからの評判も良かったんです。
ただ、時間にルーズで、何度注意してもそれが改まりませんでした。
そこでリーダーが強く注意したところ、売り言葉に買い言葉で『じゃあ辞めます』と言い出したんですよ。
思い留まるよう説得しましたが、最後には
『この会社は私に合わないみたいなんで、辞めます』と言って、本当に退職してしまいました」
遅刻を注意して「私に合わない」と反発されてしまったら、注意した方は堪らない。
しかし、他にも信じがたいセリフを吐いて辞めていったスタッフはいたという。
お金が貯まったからって突然辞めるってどういうこと…?
「パートのヘルパーとして入社してきた20代後半の女性・Bさんは、働き始めてすぐに完ぺきに仕事をこなし、『良い人材が入った』と社員一同、大変喜んでいました。
ところが半年後、いきなり
『今日で辞めます』と言って辞めてしまいました。
理由を聞くと、『お金が貯まったから』と言うんです。
どうやら“半年間は日本で働いて、残りの半年間は海外で暮らす”という生活を送っているとのこと。
『最初から“半年で辞めます”って言ったら、雇ってもらえないじゃないですか』と悪びれることなく言って、辞めていきました」
夢を追うのはいいことだけれど…
中には、もはや冗談としか思えない理由で辞める者もいる。
近畿地方のある介護事業所で働くタナカさんは、引き止める気も起きないような退職理由を聞かされたことがあるという。
「介護系の専門学校を出て介護職として就職してきた女の子が、働き始めて1年ほどで辞めると言い出しました。
介護は楽しいし利用者さんと話すのも好きだと言っていたのにどうして?と思って退職の理由を聞くと、
『実はもともと歌手になるのが夢だった。
この間カラオケスナックに行ったら、たまたま隣にいたおじさんに歌を褒められたので歌手になります』
と言うんです。見知らぬおじさんに褒められたからといって、本当に歌手になれるわけがないと呆れてしまいましたね…」
あまりに唐突な退職理由に、タナカさんは引き止める気を失い、「大変だろうけど頑張ってね」と、大人の態度で応じたとのこと。タナカさんはいう。
「彼女は正直に退職理由を言うのが誠実だと思ったのかもしれませんが、周りが呆れるような理由で辞めたら、もう元の職場には戻れません。夢を目指すなら、そうやって退路を断つのも1つの考え方でしょうが、元の同僚とのパイプを持っておくのも大事なこと。
あまりにも非常識な理由や自分勝手な理由で辞めるのは慎んだほうが良いと思います」
その後、その女の子の消息は不明だが、インターネットでいくら検索しても彼女の名前は見つからず、歌手になる夢はまだ叶っていないよう。
人の人生に口出しするほど野暮なこともないが、仕事を辞める際には、時に“方便”も必要なのは間違いないようだ。