毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「老人ホームの介護職は、年末年始に休みを取らない?」という話題を紹介します。
介護現場で毎年恒例「年末年始のシフト決め」
日に日に気温が下がり、気が付けば年末年始はすぐそこ。
都内のある介護付き有料老人ホームでは先日、年末年始のシフトを決める話し合いが行われたが、新人スタッフのカネコさんは、その時に意外な事実を知ったという。
老人ホームの介護職はお正月も休みなし…?
カネコさんは介護系の専門学校を卒業したばかりの、介護職1年目の女性。
カネコさんはこれまで毎年、年末年始は家族揃って父方の実家に帰省するのがお約束になっていて、離れて暮らす祖父母もそれを楽しみにしていたが、今年は悩み事があった。
介護付き有料老人ホームは24時間365日稼働しており、当然スタッフが常駐していなければならない。
カネコさんは、「新人の私は、お正月なんて関係なく働かされるだろうなぁ。おじいちゃんやおばあちゃんに会いたいのに」と思っていたのだ。
スタッフの年末年始シフト決めはなんとくじ引き!
すると先日、施設長から「年末年始のシフトを決めるから、みんな集まって」と招集がかかった。
カネコさんはてっきり、ベテランから早いもの勝ちで希望日を言っていくものだと思っていたが、その予想は外れ、決定方法は“くじ引き”。
公正なやり方に喜んだカネコさんだったが、運悪くくじの結果は21人中21番。要するに誰も希望しない余った枠が、カネコさんの出勤日になってしまうということだ。
「これじゃあ年末年始の帰省は絶対無理だ」と意気消沈したカネコさんは、結果も見ずに仕事に戻ったという。
新人介護職に奇跡のシフトが
そしてその日の帰り際、先輩から年末年始のシフトが決まったことを知らされたカネコさん。
シフト表をチェックすると、“奇跡”が起きていた。
大みそかこそ休めないものの、1月1日から4日まで連休になっていたのだ。
「例年は12月30日か31日に帰省していましたが、今年は家族が私の仕事の予定に合わせてくれ、1月1日に帰省することになりました」
と、カネコさんは喜んでいる。
しかし、『お正月は仕事を休んで家族と過ごすもの』と思っていたカネコさん。
「どうしてみんなお正月にシフトを入れるんですか?」と先輩介護職に聞いてみると、思わぬ答えが返ってきたという。
「『お正月なんて電車や道路は混んでるし、ホテルは高いし、お店は開いてないし、休んだってしょうがないじゃない』と言われました。
先輩が言うには、お正月が過ぎて1月の半ばになると、ホテル代がめちゃくちゃ安くなるので、みんなお正月は避けて、世の中の人が働き始めてから遊ぶようにしているそうです」
かくして希望通りお正月に帰省できることにはなったものの、なんだか損をしたような気になってしまったカネコさん。
年末年始の出勤には特別に手当もつくほか、施設長がスタッフに差し入れをしてくれることもあると聞き、来年以降はお正月に出勤するか休むか、今から悩んでいるそうだ。