美容師として好調なスタートを切ったものの、都会のサロンの働き方に自分を当てはめることができず、退職。以後、フリーターとして職を転々とした後、理学療法士になろうと決心したSさん。そして、学費を稼ぐための職を、と軽い気持ちで探し、たまたま出会ったデイサービスが、Sさんの人生を大きく好転させていくことになります。
*W・Sさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
W・Sさん(31歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…5年
●転職回数…4回(介護業界は1回)
●介護の仕事に就く前の経験…美容師、古着店店員、飲食店店員、図書館受付
●現在の勤務先…小規模デイサービス
●保有資格…介護福祉士
最初は、高齢者施設の夜勤専従を考えた
高齢者施設で働こうと思ったとき、最初は「夜勤専従がいい」と思いました。居酒屋での深夜バイトをして、深夜働くと時給が高く、お金が貯まるのがわかっていたからです。就職情報をかき集めて、学校と自宅の間にある事業所で夜勤の職員を募集しているところを探しました。さして期待もせずに面接を受けに来たのが、宿泊サービスもある小規模デイサービス。今も勤務しているところです。
僕が「夜勤をやりたい」と話したら、経営者でもある施設長から「君はコミュニケーション力がありそうだ。夜勤で黙々とやるより、昼間のデイサービスのほうが向いているんじゃないかな?」と言われました。つまり、理学療法士の学校に通うために、手っ取り早くお金を稼ぐのではなく、ここで働くことを中心にする。学校は夜間に通う。施設長も応援してくれるというので、昼間の担当として働くことになりました。
素直な自分を出して、利用者さんと接する
何の知識もなく、デイサービスの職員として利用者さんに接したのですが、最初から、「この仕事は向いている!」と思いました。利用者さんと話すのが、楽しいんですよ。美容師時代も、お客様と話をするのが好きでしたが、美容師という職業柄、どこか肩ひじ張ってカッコつけていなければいけない部分がありました。けれど、高齢者の方々が相手だと、かえってその気取りが邪魔になるんです。素直に自分をさらけ出さないと、心を合わせられない。本当の意味での人付き合いがここではできるんだ、ということに感激しました。
それに、介護の仕事は今後、もっと社会から必要とされるだろうし、若くても年齢を重ねてもできる。うちの職員で、利用者さんよりも年上の人もいるぐらいですから。
美容師に挫折し、洋服の販売も飲食店の店員も、図書館の受付もうまくいかず、転職を繰り返した。そんな自分に何ができるのかと、心が折れかけたこともありました。けれど、ようやく自分の居場所を見つけた、そんな気持ちでした。
しかし、デイサービスの仕事をしながら、理学療法士の学校に通って2年たったところで、体を壊しました。フルタイムの仕事と学校との両立は、やはり大変でした。体が言うことを聞かなくなり、半年休んで、ようやく復帰したんです。それに、体を壊す少し前に結婚もしまして、復帰する間に子どもが生まれたんですね。仕事も休んでいましたし、学費を払いきれなくなってきました。2年間通って、体や筋肉の構造、体の動かし方などはかなりわかってきていましたが、残念ですが、退学することにしました。
仕事に本腰を入れられるようになって、ますます介護の仕事にのめり込んでいきました。家族を養うためにも、一人前になりたいという気持ちも、どんどん強くなりました。
次回は、デイサービスのよさをSさんに語っていただきます。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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