これまでキャリアアップを考えず、ひたすら現場主義で仕事をしてきたNさん。しかし、介護の仕事を10年続けてきたところで、ひとつの区切りが見えました。これから利用者さんをどうサポートしていったらいいのか。自問した先には、自分のキャリアアップの必要性が見えてきました。最終回は、新たなチャレンジに足を進めるNさんをお伝えします。
*N・Rさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
N・Rさん(37歳)の転職経験
大学卒業後、1年間、百貨店でケーキ販売の仕事に就く
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高級和食店のフロントの仕事を3年務める
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和食店在職中にヘルパー2級を取得し、介護老人保険施設(老健)に5年間勤務。介護福祉士の資格を取得
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高級と言われる介護付き有料老人ホームに5年間勤務
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住宅型有料老人ホームに併設する訪問介護事業所に1年余勤務。現在、介護職を続けながら、ケアマネジャー資格取得の準備中
介護の仕事をやめても、結局始めたくなって
介護の仕事を初めて10年がたち、夜勤も含めた忙しさの中で、一度区切りをつけたかったんですね。正社員で入社した有料老人ホームを、後半は非常勤にしていただいて、結婚生活と両立していました。
しかし、それでも「一度やめよう」と考え、退職させていただきました。一度この仕事と離れてみたら、どんな行動をするんだろう、と、自分を試したい思いもありました。
けれど、やめてすぐに時間を持て余して。友達が働く老人ホームにパートで手伝いに行くなど、結局、介護の仕事に手を染めたりして。
自分はやっぱり、介護の仕事が好きなんだな、と実感しました。それなら、また働いてみよう、できれば以前に働いていた有料老人ホームのように、少しハイグレードなところがいい。そこで、利用者さんの生活をまた支えよう。インターネットを使って、通いやすくて条件に合う就職先を見つけ、また正社員で勤務することになりました。
今回は、以前の介護付き有料老人ホームより若い入居者が多い、住宅型の有料老人ホーム内での勤務です。100戸ほどの部屋に分かれている中で、自立して生活されている方もかなりいます。私は、介護が必要な方のお部屋に出向き、家事援助や介護を行っています。おひとりずつのご要望に合わせて、よりよい介護を模索しています。
しかし、今の仕事を始めて1年余りになりますが、以前のようにがむしゃらに仕事に向かっていくパワーが出ないのです。訪問介護という形で、利用者さんに1対1で接することは、私が考える介護の理想に近いものではあります。でも、複数のスタッフや他の利用者さんに自分の介護を見られることもなく、独りよがりになりそうなところが、自分には向いていないのかもしれない、と思うこともあります。
生活全体を見据える職種にやりがいを
介護の仕事の悩みは、同じ介護業界で働く友人に話すのが一番わかってもらえます。そこで、正直に話してみました。すると、「もっと幅広く、深く介護に関わりたくなったんじゃない? それならケアマネジャーの資格を取ったら?」というアドバイスももらいました。
私は、現場の仕事が好きで、ケアマネジャーになってデスクワーク中心になるのはいやだ、と思っていました。利用者さんとすぐそばで接していることが自分らしさだと、かたくなに信じていたんですね。だから、老健の3年目で介護福祉士の資格を取ったものの、その後はかたくなにケアマネジャーの資格取得を拒んできました。
けれど、ケアマネジャーの資格をとって働いている友人は、「おひとりおひとりに本当にふさわしい介護をコーディネートできる今の仕事を誇りに思う」と言っています。
「よりよい生活を送るための相談に乗り、利用者さんの幸せを実現する今の仕事にやりがいが大きい」と。
私は今まで近視眼的だったのかもしれないな、と思いました。直接利用者さんの手を取り、お世話する介護はもちろん大好きなのです。でも、利用者さんのよりよい生活を考えたら、利用者さんにふさわしい社会資源を見つけて、生活全体を幸せな気分で満たしてあげることが大事なのではないか、と思えてきました。その幸せの実現をコーディネートするのがケアマネジャーなのかな? と思い始めました。
今、振り返って考えると、忙しさの中で、自分の仕事の手応えや広がりを見失っていたように思います。
それに、利用者さんを敬う気持ちや、ご本人の本当の幸せを考える気持ちも折れがちでした。でも、次にやるべきことは見えてきました。
今は、ケアマネの資格取得を目指して勉強中です。
和食店のフロントの仕事をやめて、介護業界に飛び込んだ10数年前。あの時の、新たな仕事にチャレンジするときのワクワクするような気持ちを、また味わえるような気がしています。
介護の仕事は本当に奥が深い。やめたいときもあるけれど、やっぱりやめずにここまで来てよかったと、今しみじみ思っています。
*N・Rさんの「私が転職した理由」…
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