特別養護老人ホーム(特養)や療養型病院での過酷な勤務で体を壊し、仕方なく苦手と思っていたデイサービスの求人を探し始めたOさん。結局、札幌のデイケアに転職しました。同じ介護業界でも、ところ変わればこんなにも仕事が違うのか、と驚くばかりだったというOさんのお話をお聞きください。
*O・Rさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
O・Rさん(34歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…14年
●介護の仕事に就く前…介護専門学校学生
●介護業界での転職回数…6回
●いままでの勤務先…特別養護老人ホーム、療養型病院、デイサービス、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、大手介護関連企業
●保有資格…介護福祉士、介護支援専門員
高齢者とのコミュニケーションも、意外に楽しめる自分がいる
デイサービスの求人を探していましたが、結局就職したのは、デイケアでした。リハビリ中心のデイですが、だからといって、レクリエーションがないわけじゃない。レクは苦手ですが、夜勤を続けて体を壊すのはもういやだ、と思っていたので、納得の上でデイケアに勤めることにしました。
特養のときは利用者さん、療養型病院のときは患者さんでしたが、株式会社が経営するこのデイでは「お客様」。呼び方が違うと、もてなし方も違うということを痛感しました。ここではリハビリもするけれど、楽しんでいただくことが大切です。雑に患者さんの洗顔をしていた療養型病院時代は忘れ、サービス業のように考えて、高齢者の方々と接していました。
人前で歌を歌うなんて、プライベートでは信じられませんが、仕事のためならやれる自分がいて、我ながらびっくりしました。これまでは、介護をいかに短時間でこなすか、がミッションでしたが、ここでは人間関係の構築が課題です。お客様には積極的に話しかけ、相槌を打つようになりました。人は仕事によって、成長するんですね。
以前は認知症の方ばかりだったので、「はい、口をあけてください」「お食事の時間です」など、作業にからんだことを呼びかけるだけでした。でも、ここには元気な方が多く、名前を憶えてくださることもあり、意外にも「コミュニケーションが楽しい」と思う自分がいました。
このデイケアにいるときに、ケアマネジャーの試験に受かったので、ケアマネジャーの業務をしたいと思っていました。けれど、勤務先の施設にはすでにケアマネジャーがいるので、この施設では自分がケアマネとして働ける可能性が低いと思い、他の職場を探すようになりました。
自分は人見知りであがり症、面接が苦手なので、本命の事業所を受ける前に、いくつか練習で面接を受けてみようと思いました。それで受けてみたのが、大手の介護事業者が募集していた、デイサービスの生活相談員の求人。あくまで練習のつもりでしたので、あがらずに受けられました。
ところが、その晩、採用の知らせが。驚きました。行くつもりはなかったんです。大手とはいえ、募集は正社員ではなくて、パートでしたし。でも、さすが大手ですね、給料がよかった。これまで、特養や病院などでは手取りで月給が14万円、ボーナスが20万円ぐらいでした。最初の特養は、夜勤をやっても夜勤手当が1300円程度。しかし、ここはパートでも月額に換算すると、月に21~22万円ぐらいになる。年収で計算しても、こちらのほうが以前に比べ収入が高くなります。厚生年金や健康保険にも加入できる。「パートでもいいかな」と思い、入職を決めました。
介護施設で法律や相談員業務を必死で勉強したら
相談員になると、事業所や利用を希望する方のお宅で、ご家族やご本人に、自社のデイサービスの特徴を説明するのですが、法律や契約の細部について質問されて答えるなど、これまでの知識では太刀打ちができなくなりました。そこで、介護保険法をはじめ、さまざまな介護の知識をつけるべく、勉強を始めました。わからないことがあれば本を読む、インターネットで調べる、知り合いに聞く。勉強を始めると介護の奥深さがわかり、これまで以上に業務に関心が持てました。
一生懸命に勉強をし、また契約数も順調に伸びていたからでしょうか。会社の本部から連絡があり、「新規オープンするデイサービスの営業所長にならないか」と打診がありました。驚きました。自分はパートで入ったのに、本部づきの正職員に。このとき、まだ26歳です。
これまで社会福祉法人や医療福祉法人で働いてきましたが、株式会社で働くのはすばらしい! と思うようになりました。そもそも給料がいい。そして、年功序列は関係なく昇進でき、がんばれば給料も上がる。努力する甲斐があると思いました。このとき26歳。管理職になる喜びで満たされました。
次回は起業を考えるOさんの様子をお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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●○● 介護業界で転職する時の 基本ノウハウ ●○●
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