ファミレスの副店長、トラックの運転手、営業職を2年ずつ経験してから、介護の世界に飛び込んだUさん。
はじめての介護の仕事は訪問入浴のアシスタント。
その後、大手の介護事業所の幹部職員に上り詰めたのは、筋の通った生き方や、リーダーたる介護理念を持っていたからこそ。
華やかな経歴に目を奪われがちですが、たくさんの学ぶべき点があります。
読者の方の転職の貴重な情報として、大いに生かしてほしいと思います。
*U・Hさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
U・Hさん(40歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…16年
●介護の仕事に就く前…ファミレス副店長、運送会社運転手、営業職
●介護業界での転職回数…6回
●いままでの勤務先…訪問入浴・訪問介護事業所、介護老人保健施設、大手介護関連企業
●保有資格…介護福祉士
いろいろな職業を体験してみたかった
旅行が好きで、旅行業を目指すための専門学校に入学しました。
けれど、目指していた総合旅行業務取扱管理者試験に落ちて、気持ちもすっかり落ちてしまいました。
何か他のことをしようとしたときには、就職戦線も終わりに近づいていて。
どうしようかと悩んでいたら、以前からバイトをしていたファミリーレストランに社員として雇ってもらえると言われ、それならと、就職を決めました。
安易に決めた仕事でしたが、一店員から店を統括する副店長の立場になり、面白味はありましたね。
しかし、就職した時に、2年たったら辞めると決めていたんです。
自分に何が合っているのかわからないうちから、仕事を決め込んでしまう必要はないと思っていました。
当時はいろんな仕事を経験して、さまざまな世界を知りたいという欲求が強くて。
会社には退職を引き止めてもらいましたが、車が大好きだったので、一日中運転していられる職業に就こうと、中距離トラックの運転手に転職しました。
トラックに乗って高速道路を走るという仕事自体も好きでしたが、ただ走って荷物を届ければいいというわけではないんだな、ということがわかりました。
自分の担当エリアに一日に何件もの配送をするのですが、渋滞情報を集めてルートをその場その場で変更しながら配送しないと、やたらに時間がかかる。
納品先に気に入られるためには、荷物はこう納める、連絡はこう取るなど、ビジネスを円滑にすすめる方法も、徐々に見えてきました。
自分には納品先の関係者と仲良くなれるようなスキルもあるな、と発見しました。
また、そういうことができる運転手は、学歴がなくても、多少身だしなみが乱れていても、納品先から信頼され、給料もいい。
この仕事をやってわかったことはたくさんありました。
しかし、もっと成長したいと思ったときに、やっぱりスーツを着てビジネスをしっかりやらないと、という考えに至り、新聞に掲載していた人材募集広告で見た通信会社の営業職に応募し、採用してもらいました。
営業職から心機一転、介護職へ
入社してみると、その会社は営業職と技術職の仲がよくありませんでした。
せっかくとってきた契約なのに、通信環境が悪い、工事に手間がかかる立地だとか、技術職から文句をたくさん言われる。
でも、お客さんには「すぐにつけられます」と言ってしまっているので、技術職を怒らせるわけにはいきません。
難しいお客さんのときには同行し、車の誘導を手伝ったりしていました。
するとある時、道にずらりと右翼の方々の車が。
警察もいて、ものものしい雰囲気です。
でも、その真ん中に技術職の車を止めて工事をしないといけないので、困ったな、と思ったら、その関係者のトップの人が出てきた。
「にいさん、何しとんの?」と。
「工事をするために、ここに車を止めないといけないので……」
そんなやりとりをしていたら、警察が飛んできた。
私に身の危険が及ばないようにと思ったんでしょうね。
しかし、どういうわけかトップの方は、「それは悪かったな。おい、この方に道をあけろ」と、部下に命令し、私たちは無事に工事をすることができました。
そのトップの方にはなぜか気に入っていただき、以来、何度かお会いしました。
どんな世界でも成功したトップの方はすばらしいですが、この方は本当にすごい人だった。
その生き方にも惚れました。
そんな交流があったから、営業成績が上がらずに困っていると、さりげなく取引できる先を紹介してくれるんですね。
本当にありがたいことでした。
感謝し、義理を欠かさないようにし、また、頼りすぎないようにすることで、この方とは2年間、いいお付き合いをさせてもらいました。
ただ、仕事でラクをするのはあまりいいことではないと思い、新しい別の世界に入ることにしました。引っ越しをし、名古屋の介護事業所に就職しました。
今度は、「社会の役に立てる仕事」をするのがいいと思ったのです。
それに、まだまだ新しい世界も見たかったんですね。
就職した介護事業所で、最初は訪問入浴の部門に配属されました。
訪問入浴では、無資格でもアシスタント業務はできるんですよね。
入職してからヘルパー2級(現介護職員初任者研修に相当)を取得し、訪問入浴に加え、訪問介護の仕事もすることになりました。
とにかく、介護の仕事は学びの要素が多い。
そこに魅力を感じて、今日まで16年間続けてこられたのです。
次回は、介護の世界で気づきをいくつも得たUさんの様子をお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
*U・Hさんの「私が転職した理由」…1回目、
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