◆居宅介護支援事業所(正社員/ケアマネジャー) → 特別養護老人ホーム(正職員/ユニットリーダー)
K・Fさん(女性・54歳)
●居宅介護支援事業所(勤務期間:5年/年収約320万円・介護支援専門員手当あり)
●特別養護老人ホーム(勤務期間:10カ月/年収約320万円)
介護業界でのその他経験:訪問介護(パート/介護職/1年)、デイサービス(パート/介護職/7年/年収約200万円)、宿泊つき小規模デイサービス(正社員/生活相談員/2年/年収約300万円・介護福祉士手当あり)
保有資格:ヘルパー2級(現介護職員初任者研修)、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)
家族構成:夫(30歳、28歳の2人の娘は独立)
*K・Fさんの「転職 成功・失敗 体験談」…1回目、
2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
【介護職になったきっかけ】看護助手から介護の道へ
病院の看護助手のパートをはじめた
下の娘が幼稚園に上がる頃に、何か仕事をしようと思い立ちました。
幼稚園のお迎えに間に合うためには家から近いところ、それに午前中の週2回がいい。そんな条件を満たすのが、自宅から自転車で行ける距離にある、病院での看護助手のパートでした。
看護師の資格は持っていないので、看護や身体介護はもちろんなし。備品を整えたり、食事を運んだり、シーツを交換したりする仕事でした。
家族にも迷惑をかけないし、難しい作業もないとてもありがたい仕事だったので、2年ほど続けました。
事業所のすすめでヘルパー2級を取得
病院での仕事は、訪問看護事業所からの派遣でした。
ある日、管理者の方から「2年も続けたのだから、ヘルパー2級(現・介護職員初任者研修に相当)を取得して、訪問介護の仕事もしてみたら?」と誘われました。その事業所を経営する母体が、訪問介護事業所も運営していたのです。
一瞬、どうしようかな、と迷ったけれど、無料で資格を取らせてくれるのはありがたい、下の娘もそろそろ小学生になる。もうひとつ仕事を増やしてもいいかもしれない、と思えました。
そこでヘルパー2級の資格を取り、その後1年ほどは病院の看護助手と訪問介護、パートで両方の仕事をしていました。
デイサービスで介護職の楽しさを実感
その後、近所に引っ越すことになり、いったんは看護助手と訪問介護の仕事は休止しました。
しばらくは専業主婦として過ごしていましたが、子どもが大きくなるにつれ、「やはり働きたい」という思いがつのってきて。下の娘が高校に入る頃には、同じ法人のデイサービスでパートとして働くようになりました。
デイサービスで働くようになってから、高齢者の方々と接することを楽しく思えるようになりました。
レクリエーションで一緒に楽しんだり、昔話を聞いたり、そんな「ご近所のおばあちゃまと遊んでいる」みたいな感覚で仕事になるなんて、少し不思議な感じがしました。
もちろん、デイサービスではやることが多く、分刻みの仕事でしたが、「介護の仕事は性に合っている」と思えました。
身体を動かして働き、高齢者に喜んでいただける。そこにやりがいを見出していました。
職場の人間関係もよかったので、特に辞める理由もなく、7年勤務しました。
【1回目の転職 生活相談員へ】ケアマネジャーになりたかったけれど…
条件に合う職場が見つからず、生活相談員に
デイサービスで働く間に、介護福祉士と介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格も取りました。
介護支援専門員の資格が取れたところで、ケアマネジャーとして働きたいと考えるように。
デイサービスではパートとして働いていたということもあり、正社員になりたいと考えるようになったことも、転職を考えるきっかけでした。
「家から自転車で通える」を条件に、ケアマネジャーとして働ける職場を探しましたが、探しても条件に合うところはありませんでした。
お泊りができる小規模なデイサービスで生活相談員を募集していたので、それもひとつの経験かと思って、正社員の生活相談員として勤務することにしました。
生活相談員の仕事はケアマネジャーと大違いだった
「相談員の仕事はケアマネとそんなに違わないだろう」と思っていましたが、勉強不足でしたね。ケアマネジャーとは大違いでした。
生活相談員の仕事は、入所したい利用者さんの相談に乗るだけではなく、利用者さんを集めるための営業活動がとても重要なのです。
利用者さんがきちんと集まり、常に空きがない状態にしないと、介護ビジネスは成り立ちません。
だから利用者さんを獲得するために、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんのところにしょっちゅう顔を出したり、募集のチラシを配ったり。
結婚前は事務職でしたし、もともと営業など得意ではなかったので、これはすごくストレスになりました。
【2回目の転職 ケアマネジャーへ】やはりケアマネの資格を生かしたい
ケアマネジャーの資格を生かすため、転職を決意
デイサービスに宿泊する利用者さんに対しても十分なケアができない状態だったので、だんだん仕事をするのがつらくなってきてしまいました。
せっかく介護支援専門員の資格を取ったのだから、やはりケアマネジャーとして働きたい。そう思い、家から近い居宅介護支援事業所に応募することに決めました。
面接を受けたら通ったので、生活相談員は2年で辞めました。
夜中にも鳴る携帯電話で心身に疲れが
私が採用されたのは、ケアマネジャー3人という小さな事業所。先輩はとても良い人で一から仕事を教えてくれ、しばらくすると、独り立ちできたな、という実感も得ました。
やっと介護支援専門員の資格を使って仕事ができる。当初はとてもうれしく感じました。
けれど、30人の利用者さんを受け持つと本当に時間が足りない。
それぞれの利用者さんやそのご家族からたくさんの連絡が入ります。
ひとつひとつの要望に応えたいのですが、応えていたら身が持たない。
会社から持たされていた携帯電話には、早朝から夜中まで電話が入ります。
さすがに退社後は電源を切っていることも多かったですが、体調不安の利用者さんがいるときなどは、いつ何時何かあるかわからない。そんなときは夜中でも電源を切れず、電話が鳴ったら出てしまう。
プライベートと仕事の境目がなくなり、身体だけでなく、心も疲れてきました。
社長に介護の知識がなく、状況をわかってもらえない
ケアマネジャーという仕事は、個人で考えて実践する部分が多く、だれかに代わりになってもらえることはありません。先輩はいろいろと相談にのってくれましたが、抱えている仕事に関しては自分で責任を取らなければならないのです。だからこそ、問題が起こるたびに悩みは多くなります。
それなのに、社長は介護予防の利用者さんをたくさん集めてきて、「Kさん、担当して」と言ってくるのです。
正直なところ、介護予防の方はとても手間がかかり、たくさん受け持つと大変だし、事業所ももうかりません。
社長にそのように言っても、「未来の利用者になるのだから、大事にしないと」とたしなめられます。
もちろん、そうなのです。社長の言うこともわかります。
けれど現実問題として、仕事が増えすぎるとほかの利用者さんにも影響が出る。
「残業時間も制限されているのだから、そこまでできない」と言っても、何もわかっていない社長からは「時間をやりくりすればできるだろう」と言われてしまう。
そんなことを言うなら社長がやってよ、と言いたくもなりました。
今思えば、私の要領が悪かったのかもしれませんね。
上手にこなしているケアマネジャーさんはたくさんいます。また、そうでなくてはつとまりません。
それでも、私はひとりひとりの利用者さんのことがどうにも気になってしまう。そういう性分なのでしょう。
【3回目の転職 介護士へ】ケアマネは向いていないかもしれない
介護現場が好きだったことを思い出し、介護士としての転職を決意
結局は、疲労が重なって持病の腰痛が出てしまい、1週間出勤できなくなりました。
休んでいる間に、「ケアマネジャーの仕事は私には向いていないかもしれない」との思いも強くなりました。
利用者さんのために心を込めて働きたい。でも、ケアマネジャーの仕事は、ある程度効率よく働かないと身体が持たないのです。
どうしようか……。考えるうち、「辞めたい」気持ちがどんどん募っていきました。
そもそも私は介護の現場が好きなんだ。現場に戻ろう。それが一番いいのだ、という気持ちがどんどん沸いてきました。
考えた結果、ケアマネジャーとしての仕事を辞め、現場で介護士として働くため、転職することにしたのです。
次回は、転職後の職場の様子やキャリアプランなどについて詳しく聞きます。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
*K・Fさんの「転職 成功・失敗 体験談」…1回目、
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●先輩たちの職場選びの失敗事例に学ぼう
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