えっ!思ってたより少ない!?『手取り額』のナゾ
「手取り額」とは、
実際に支給される給与の金額のことを指します。
一般的には、
総支給額(額面給与)の75~85%が実際の「手取り」として支給されるケースが多いです。
介護事業所の給与規程等に従い支給される基本給や諸手当などの給与の総額から、所得税や住民税などの税金および健康保険料や厚生年金保険料・雇用保険料といった社会保険料、並びに賃金控除に関する労使協定により定められたものを控除した金額です。
実はこんなに!給与から引かれてた金額は……
介護福祉士として勤務する場合の給与について計算してみましょう。
●給与として支給されるもの
基本給や諸手当は、介護サービスの種類や介護事業所の規模・方針などによって異なります。
「基本給」は、職群別役割資格制度要綱などの規程で定められた役割資格に応じて決定されます。役割資格は経験や意欲、能力など総合的に判断され格付けされます。
「諸手当」は、基本給以外の諸費用として介護事業所が職員に支払う給与のことを指します。
割増賃金などの法律により定められている諸手当と、法律では定められていないが要件を明確にしたうえで支給する諸手当とに分類されます。
法律で定められていない諸手当は各介護事業所の裁量により決めることができ、住宅手当や扶養手当といった職員の生活環境の向上を目的とした福利厚生的な意味合いの諸手当と、資格手当や通勤手当、特別業務手当といった資格や労働内容に応じた諸手当があります。
●給与から控除される(引かれる)もの
給与が支給される時には、給与総額から税金と社会保険料、そして賃金控除に関する労使協定により定められたものが引かれます。
税金には、「所得税」と「住民税」があります。
「所得税」は「所得」とあるように単純に収入から控除されるものではなく、通勤手当などの非課税分を除く収入額から、社会保険料や配偶者・扶養控除などの所得控除額を差し引いたあとの金額で算定されます。毎月の所得税額は給与所得の源泉徴収税額表に従い決定し、年末調整にて最終的な所得税額を確定させます。
「住民税」については、職員の前年の所得金額に応じて課税される所得割と所得金額にかかわらず定額で課税される均等割を合算して算出され、毎年6月から翌年5月までの期間で12回に分けて毎月給与から控除される仕組みとなっています。
社会保険料のうち、健康保険料と厚生年金保険料は、毎年9月に行われる定時改定にて9月から翌年8月までの保険料が標準報酬月額・保険料月額表により決定されます。ただし、役割基本給などの固定的な給料が大幅に変更され、それが3か月続いたときは随時改定が行われます。
雇用保険料については、雇用保険料の対象となる賃金に雇用保険料率をかけて算出します。雇用保険料率は事業の種類によって異なります。令和2年度の一般企業における雇用保険料率は9/1000で、職員負担分が3/1000となります。
賃金控除に関する労使協定により定められたものとは、事業主と労働組合(労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者)との間で定められた協定により賃金から控除することが認められたものであり、例えば退職共済掛金があります。
「手取り給与」の計算例!
それでは具体的な手取りの給与額を計算してみましょう。
(例)介護福祉士(40歳:男性)
扶養親族:配偶者
社会保険料:健康保険22等級、厚生年金19等級
【給与】
役割基本給 250,000円
扶養手当 10,000円(配偶者)
資格手当 5,000円(介護福祉士)
夜勤手当 20,000円(月4回)
通勤手当 5,000円
特別業務手当 10,000円
■額面支給額合計 300,000円
【控除】
健康保険料 17,400円
厚生年金保険料 27,450円
雇用保険料 900円(一般:3/1000)
所得税 5,140円(扶養親族1人)
住民税 17,000円(概算値)
退職共済掛金 2,110円(概算値)
■給与控除額合計 70,000円
【手取り給与】
300,000円 - 70,000円 = 230,000円
このように、額面の金額と手取りの金額には大きな開きがあることが分かります。
今回の例では手取り金額は
額面の75%ということになります。
まとめ
私たちが働いて支給される『給料』には、実際に振り込まれている「手取り給与」のほかに、「税金」や「社会保険料」が含まれているんですね。
つまり、国に治めるべき税金を、事業所が代わりに計算して支払ってくれているっていうことなんです。
手取り額は「総支給額の約75%」と目安がわかっていれば、転職活動中に求人情報を見るときの参考にもなりますね!
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