採用面接で名刺をもらうことがあったら、自分も名刺を渡した方がいいのでしょうか。
結論から言うと、採用面接で名刺交換をする必要はありません。なぜかというと、面接には会社の一員としてではなく、一個人として来ているからです。
既に職場を退職している場合と、現在も会社に所属しながら転職活動をしている場合に分けて、面接で名刺を出されたときの対応方法をご紹介します。
既に退職している場合
既に仕事を退職している場合は、
元の職場の名刺を渡すのはマナー違反です。今所属していない職場の名刺を人に渡してはいけません。
相手の名刺を受け取ったら、今は渡す名刺がないことをお伝えしましょう。
「既に退職していますので、持ち合わせている名刺はございません。」
といった言葉を添えると印象もいいでしょう。
まだ会社に所属しながら転職活動をしている場合
現在、まだ在職中という場合も、同様に
名刺交換をすることはありません。
名刺は会社の一員としての立場・肩書きを示すものです。採用面接は会社を代表してきているわけではなく、一個人としての面接であり、会社の名刺を出す必要はありません。
ただし、転職の面接で現職の名刺を求められることがまれにあります。その場合の返答例としてはこのような対応が望ましいでしょう。
「本日は会社(施設または法人)の一員ではなく、個人として面接に来ておりますので、名刺は持ってきておりません。」
このように伝えると印象もいいでしょう。
名刺を「忘れた」と言うと、持ってくる予定だったものの注意不足で所持品を確認してこなかった、という印象に見られてしまう可能性があります。
名刺を持ってこなかった理由を伝える方がスマートです。
名刺を受け取るときのマナー
介護職はビジネスシーンで名刺交換する機会が少ないので、名刺を使ったやり取りに慣れていない方が多いかもしれません。
名刺の受け取り方・扱い方は社会人のマナーとして理解しておくことが必要です。
採用担当者から名刺を出されたときには、以下の5つのポイントに注意して受け取りましょう。
1.机を挟んで受け取らない
名刺を受け取るときは
机を挟んで受け取らないようにしましょう。
机越しではなく、双方の間に何もない状態で、双方が立って、対面で名刺を受け取ることが基本です。
狭い場所などで移動ができない場合は机越しで受け取っても問題ありませんが、必ず立って受け取るようにしましょう。
2.必ず両手で受け取る
名刺は必ず
両手で受け取りましょう。
両手をそろえてまっすぐに手を伸ばして受け取りましょう。会社のロゴマークや社名・相手の氏名などを指で隠さないように注意し、大事に受け取ります。
受け取る際には「頂戴します」「頂戴いたします」と相手に伝えましょう。
名刺入れを持っている場合は、自分の名刺入れを座布団にして、相手の名刺を自分の名刺入れの上に受け取るようにしましょう。
3.名刺を見る
名刺を受け取ったら、まずは
名刺に書いてある内容をしっかり目視しましょう。
名刺を見ないでしまい込んでしまうのは失礼にあたります。
また、名刺を見るときには自分の胸よりも高い位置で見ましょう。名刺を見るときに、名刺が下の方にあると、名刺を見下しているような印象に映る場合があります。
名刺は胸よりも高い位置にして見るようにしましょう。
4.名刺は机の上、左側に置く
受け取った名刺は
机の上、自分の左側に置きましょう。
複数名の面接官が並んで座っている場合には、その順番通りに並べて置きましょう。
通常、名刺入れを持っているのであれば、名刺入れの上に相手の名刺を乗せるのがマナーと言われますが、採用面接時に名刺・名刺入れを持っていない場合は、机の上に置きます。
置き方も雑に扱わないよう、角度も斜めにならないように注意し、丁寧に置きましょう。
5.名刺は面接が終わってからしまう
名刺は
面接が終わってからしまいます。
面接が終わるまでは机の上に置き、面接終了の合図があったら、「失礼します」と言ってから名刺をしまいましょう。
名刺をしまうときには特に慎重に取り扱いましょう。名刺のしまい方が雑だと、曲がったり、折り目がついたりすることがあります。名刺を乱雑に扱うことは、相手に大変失礼にあたります。名刺を机の上に残したまま退室してしまうのは、もってのほかです。
通常、名刺入れがある場合は、いただいた名刺を名刺入れの中に入れ、スーツの胸ポケットか内ポケットに入れることが一般的です。
介護職の場合はビジネスシーンで名刺のやり取りをする機会がほぼない場合もあり、名刺入れを持たない方も多いと思います。
面接時に名刺入れを持っていない場合は、手帳などに丁寧に挟み、カバンの中に静かにしまいましょう。
名刺の受け取り方・扱い方のマナーとして5つのポイントを紹介しました。面接の場で名刺を出されて慌ててしまうことがないよう、名刺の受け取り方のマナーは最低限覚えておきましょう。
状況によってはイレギュラーな対応が必要になることがありますが、今回紹介した内容は名刺の受け取り方の基本として覚えておきましょう。
名刺は相手の顔と同じ
介護は名刺を使ったやり取りをビジネスの場面で行うことが少ない業界です。
介護業界内では、管理者や施設長、ケアマネジャー、サービス提供責任者、生活相談員、看護師やリハビリ専門職など限られた職種間で、多職種連携のため他事業所の担当者と名刺交換をする機会が多くあります。
一方、現場の職員は名刺交換の機会があまりなく、名刺が支給されないケースも少なくありません。
社会人としてのマナーのひとつでもある名刺交換をする機会がないと、名刺を扱うことは不慣れで緊張しますよね。
ただ、名刺の扱いに慣れていないからといって、必ずしも面接時のマイナス評価になるわけではありません。
介護は、業界としてまだまだ職場の外とつながる機会の少ない職種であることは採用担当者も十分理解しているでしょう。現職・元職場の名刺がないことについても、マイナスになることもありません。
意識するべき点としては、
名刺は「相手の顔と同じ」だと思うことです。失礼のないよう、丁寧に扱うように心がけましょう。
いただいた名刺を丁寧に扱おうという思いが伝われば、悪い印象にはなりません。
マナーを意識しすぎると、そこばかりに気を取られてしまいます。
名刺の扱い方よりも大事なのは、ここで働きたいという自分の想いを伝えることです。