■書名:ユマニチュード入門
■著者:本田美和子/イヴ・ジネスト/ロゼット・マレスコッティ
■発行元:医学書院
■発行年月:2014年6月15日
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注目の新しい認知症ケア「ユマニチュード」があなたの介護を変える
介護の仕事をしている人なら、一度は「認知症ケア」の難しさにぶつかり、悩んだことがあるのではないだろうか。
手に負えないと諦めてしまったことはないだろうか。
つい強制的なケアをしてしまい、後で罪悪感にかられてしまったことはないだろうか。
そんな人にぜひ知って欲しいのが「ユマニチュード」という技法だ。
「ユマニチュード」は、著者であるイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティによって開発された、「見る」「話す」「触れる」といったコミュニケーションに基づいたケアの技法。
こう言ってしまうと「難しそう……」と思ってしまうかもしれないが、そんな心配はまったく無用!一言でいうなら「コミュニケーションが難しい相手の気持ちを知り、自分の気持ちを伝える」ための技法。『ユマニチュード入門』では、「話しかけても反応が薄い」「食事や入浴の介助を嫌がる」など、介護の現場でよくあるシーンをふんだんに盛り込み、その理由と解決方法を具体的に紹介しているため、ふむふむ・なるほどと共感・納得しながら、「ユマニチュードとは何か」を知ることができる。
例えば、ベッドに近づいても反応しない方がいたとする。そんな方に声をかけると、叫び出したり、暴力をふるったりすることがあるかもしれない。いつもならこの時点で「難しい方だ」で終わってしまうかもしれないが、実はそうではない。
認知機能が低下した方は、人が近づいていることに気がつかない。だから不意をつかれて驚き、自分を守ろうとする行動をとる。これが、攻撃的に見えてしまうのだ。
ではどうするか?『ユマニチュード入門』では、まず自分を相手に認識させるための、「視線をつかみにいく」技法を詳しく解説している。
「ユマニチュード」の大きな特徴の一つは、「介護される側」の満足度だけでなく、「介護する側」の負担を減らし、やりがいを得るための技法であるということ。
<「時間がないから仕方がない」と“効率的”なケアを続けることで生じる最も大きな代償は、このような戦いに疲れてしまった職員の離職です。ケアをする人の多くは「誰かのために役立つ仕事」としてこの職業を選んでいます。自分が選んだ職業に価値を見いだし、継続してくためには、ケアを受ける人とケアをする人の双方が楽しみと満足を得ることが重要であり、それを実現できる技術があるのです。>
「ユマニチュード」は、認知症ケアに関わる人だけでなく、介護に携わるすべての人の「これからの介護」のヒントになるのではないだろうか。
著者プロフィール
本田美和子(ほんだ・みわこ)さん
内科医。国立病院機構東京医療センター 総合内科医長/医療経営情報・高齢者ケア研究室長。2011年にフランスに渡り、ユマニチュードの技法を学ぶ。
イヴ・ジネスト(ジネスト-マレスコッティ研究所長)
ロゼット・マレスコッティ(ジネスト-マレスコッティ研究所副所長)
体育学の教師を経て、病院職員の教育担当者となる。それを契機に看護・介護の分野に関わり、医療および介護の現場で小児から高齢者まで幅広い対象者へのケアを実践。その経験からケア技法「ユマニチュード」を創出。