介護の仕事は、利用者の生活に寄り添う仕事。人として成長することもでき、他の仕事に代えがたい魅力があります。しかし一方で、肉体的・精神的なストレスは少なくありません。介護特有の仕事のストレス、人間関係のストレス、給与や体力への不安…
介護福祉士・心理カウンセラーの篠雅行さんがアナタのお悩みにアドバイスします。
今週のお悩み事例
のりこさん(特別養護老人ホーム 1年目 28歳)
私は以前、営業職だったのですが、もっと人とふれあう仕事がしたいと思い、ヘルパーの資格を取って、現在介護の仕事をしています。
特別養護老人ホームに就職したのですが、ある先輩の態度に驚きました。利用者さんに「ちょっとやめてよ!」と怒鳴ったり、きつい言い方で接しているのです。暴力や危険行為、セクハラなどがあるわけではありません。手が滑って食器を落としてしまったとか、認知症の利用者さんが間違って他の人の部屋に入ろうとしたとか、そういったことで、すぐ怒るんです。以前はそんな人じゃなかったらしいのですが…
明らかに利用者さんも怖がっています。ヘルパーの学校では「受容や共感をベースに」と習ったのですが…。先輩の専門性のなさに疑問です。忙しい現場では、仕方ないことなのでしょうか?
篠さんからのアドバイス
のりこさん、日々のお仕事本当にお疲れ様です。
今回の話は、先輩職員の乱暴な言い方を改めさせるには?ということですね。
転職者の身であり、介護1年目ののりこさんはさぞ驚かれたことかと思います。のりこさんの視点通り、先輩の態度は良くありませんね。
「仕方のないこと」、と片づけるのは、利用者さんにとっても、のりこさんや職場の同僚にとっても、また、この先輩の自身のためにもよくありません。
しかし、のりこさんから直接先輩に言うのは角がたちますね。信頼できる上司に相談するというのが一番かと思います。「信頼できる」としたのは、以前にも書きましたが、「部下に辞められては困る」という上司の態度がそのような状況を生んでいる可能性があるからです。
まず信頼が持てる上司に相談してみてはいかがでしょうか?
先輩がこのような接し方をしている原因として、職員に負担のかかる職場環境ということも考えられます。介護の仕事は、作業が山のようにあり、ストレスがかかります。もちろんそんな状況でも、ストレスと気持ちを上手にコントロール出来る人もいますが、ストレスから感情的になってしまう人もいます。
後者の人も技術が足りないわけでなく、その人なりに一生懸命やっていると思いますが、自分の気持ちを抑えるのが困難な人なのかもしれません。粘り強く上司が対話していく必要がありますね。
私も吃音(きつおん)という、言葉を発生するのに詰まったりする現象に苦しめられました。自己紹介などで言葉がつまってしまうのです。
自分が当たり前と思っていることでも、人によっては当たり前ではないということはたくさんあります。
もちろん仕事なのでやってはいけないことがあるのも事実。そこは上司からきちんと注意してもらいましょう。
その上で、のりこさんが出来ることは、ストレスや負担をかけない仕事場にするための提案です。それらは上司や周りの職員とも話せることですし、のりこさんが仕事を続けていく上でもプラスになると思います。
また、のりこさんがもう少し成長して余裕が出てきたら、その先輩職員をちょっと支えてあげてはいかがでしょうか?何をするでもなく話を聞いてあげるだけでも違うと思います。
介護はチームプレイですので、相手の苦手なところを支えてあげるのも一つのチーム力かと思います。
プロフィール
篠雅行(しの・まさゆき)
老人ホームや在宅介護事業所、障害者授産施設で介護職を務めるなかで、介護業界で働く人を精神的にサポートしたいと思い、カウンセラーの勉強を始める。介護福祉士、認定心理士、一般社団法人心理技能振興会 心理カウンセラーの資格を持つ。
公開日:2015/2/5
最終更新日:2019/11/13
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