介護の仕事は、利用者の生活に寄り添う仕事。人として成長することもでき、他の仕事に代えがたい魅力があります。しかし一方で、肉体的・精神的なストレスは少なくありません。介護特有の仕事のストレス、人間関係のストレス、給与や体力への不安…
介護福祉士・心理カウンセラーの篠雅行さんがアナタのお悩みにアドバイスします。
今週のお悩み事例
かなこさん(特別養護老人ホーム 1年目 25歳)
私は特別養護老人ホームに入って半年の職員です。有給休暇が発生したので、上司に申請したら明らかに嫌な顔をされました。
先輩方からも「この子、有給取るの?」みたいな雰囲気を感じました。確かに他の職員にも負担がかかるし、先輩方もほとんど有給を取っていません。でも有給は権利だし、私はプライベートもちゃんと楽しみたいと思っています。職場の人たちに嫌な顔をされず、有給を取る方法はないでしょうか?
篠さんからのアドバイス
かなこさん、日々のお仕事本当にお疲れ様です。
介護の仕事は、人手不足というのもあり、有給休暇が取りづらい雰囲気というところもありますよね。もちろんそうでない施設もあると思いますが…。
私が障害者施設に入った頃、サービス残業が当たり前というのが嫌で、先輩や上司を気にせず、定時に帰ったんです。案の定、目の敵にされました(笑)。しばらくすると、次第に同僚たちも私の考えに共感してくれて、結果的に定時に帰ろうという雰囲気が作れました。
が、この方法は、すべての方にはおすすめできません。むしろ、悪い事例です(苦笑)。自分自身、強引だったな…と反省しています。
確かに有給を取るのは権利ですが、その分同僚に負担がかかることも考慮しないといけません。
そこでちょっとした「気の使いよう」が大事だと思います。
例えば・・・
・前もって先輩方に「この日どうしても有給を取りたいので迷惑をかけますが、よろしくお願いします」と頼んでおく。
・お土産にお菓子を買って行き、お礼の言葉と一緒にみんなに配る
このような、ちょっとした気配り、気遣いをしてはいかがでしょう。それだけも人は全然気持ちが違います。
こういったノウハウを、私はパートの先輩方に習いました。人生の先輩でもあって、その辺の気配りが大変上手で、さすがだなぁと勉強させられました。私もそれを早めに知っていたら、目の敵にされることもなかったかもしれませんね(笑)
また「有給促進プロジェクト」などと銘打って、月に1人は持ち回りで誰かが有給を取ることを義務付けるのもいいと思います。遠慮がちな人やリーダーも、みんなが平等に有給が取れるような環境づくりが大切です。
本来、休暇を嫌がる人はほとんどいません。他の職員とも話し合い、上司を巻き込んで話してみてください。
プロフィール
篠雅行(しの・まさゆき)
老人ホームや在宅介護事業所、障害者授産施設で介護職を務めるなかで、介護業界で働く人を精神的にサポートしたいと思い、カウンセラーの勉強を始める。介護福祉士、認定心理士、一般社団法人心理技能振興会 心理カウンセラーの資格を持つ。
公開日:2015/2/12
最終更新日:2019/11/20