介護の仕事は、利用者の生活に寄り添う仕事。人として成長することもでき、他の仕事に代えがたい魅力があります。しかし一方で、肉体的・精神的なストレスは少なくありません。介護特有の仕事のストレス、人間関係のストレス、給与や体力への不安…
介護福祉士・心理カウンセラーの篠雅行さんがアナタのお悩みにアドバイスします。
今週のお悩み事例
ひとみさん(有料老人ホーム 2年目 23歳)
私の恋人は、職場は違いますが、同じ介護業界で働いています。
仕事が大変なようで、ストレスを抱えて、最近はいつも弱音ばかり…。恋人として、どういうアドバイスをしたらよいのでしょうか?
篠さんからのアドバイス
ひとみさん、日々のお仕事本当にお疲れ様です。
ひとみさんは、弱音を吐いている恋人に対して「何か良いアドバイスをしてあげたい!」「元気にしてあげたい!」と思われているのでしょう。
ひとみさんが出来る一番のことは「恋人の話を聞くこと」だと思います。
その彼は、ひとみさんを信頼しているからこそ、悩みを打ち明けているのでしょう。
また、同じ介護業界で働いているからこそ、介護の仕事特有のストレスや大変さを共感ほしいという思いもあるのかもしれません。
ひとみさんが、真剣になって話を聞いてあげることが、彼にとって大きな救いになると思います。
ただ、彼の話を聞くうえで注意することがあります。それは、ひとみさんが彼の話に引きずられて、同じように暗い気持ちになってしまわないように、ということです。
まず、その悩みを解決する方法は、本人(彼)の中にあるということを明確にしましょう。彼の悩みを解決できるのは、ひとみさんではありません。ひとみさんは、彼の支えになることはできますが、その課題は彼自身のものであり、ひとみさんが課題を引き受けることはできません。
もしひとみさんが、「こんな風にしたら解決できるんじゃない?」、「こうしたらもっとよくなるのでは?」と思ったとしても、その方法を彼が納得して実行するかどうかは彼次第。無理に強制することはできません。
ひとみさんができることは、出来る範囲で彼の話を聞いて、彼の気持ちを少しでも楽にしてあげることです。
求める気持ちや答えてあげたい気持ちが強くなりすぎて、共依存の関係になり、共倒れにならないように気をつけることが大事です。無理に彼の話に合わせようとせず、彼の話を聞いて、ひとみさんが思ったこと、感じたことを素直に伝えてみてはいかがでしょう。
また、彼の話を聞いて、彼の今の状況に理解をしめしたうえで、良い意味で放っておくこともひとつの方法かもしれません。「放っておくなんて冷たい!」と思われるかもしれませんが、恋愛や子育て、介護に置いても過干渉は、先に言ったように依存や共依存を生んでしまいます。相手のことを十分理解したうえで放っておくことも、時には大事になってくる要素だと思います。
そんな気持ちをもって、恋人と接してみてはいかがでしょうか?
プロフィール
篠雅行(しの・まさゆき)
老人ホームや在宅介護事業所、障害者授産施設で介護職を務めるなかで、介護業界で働く人を精神的にサポートしたいと思い、カウンセラーの勉強を始める。介護福祉士、認定心理士、一般社団法人心理技能振興会 心理カウンセラーの資格を持つ。
公開日:2015/3/12
最終更新日:2019/12/18