■書名:介護スタッフのための 安心! 薬の知識 第2版
■著者:中澤巧 長野一勢
■発行元:秀和システム
■ 発行年月:2015年3月25日
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代表的な処方薬を写真付で紹介。高齢者の薬のトラブルの対処法も解説
高齢者や介護が必要な人の多くは1日に数種類の薬を服用している。
食前、食後、就寝前で、服用する薬の種類や量が異なる場合も多い。また、飲むだけではなく、塗り薬や吸入薬など、服用方法もさまざま。その種類の多さや、服用方法の違いなどに、面食らう介護スタッフも多いのではないだろうか。
本書は、高齢者に多い疾患や症状で処方される薬を介護スタッフに向けて解説したものだ。
薬の処方や管理は医療行為だが、飲み忘れていないかを確認したりする「服薬確認」や「服薬介助」は、介護スタッフも行う行為。取り扱う薬は知っておいた方がいい。
この本では、主な薬の正しい服薬方法や保管方法、高齢者の体の変化と薬の関係など、利用者の健康を守るために知っておきたい薬に関する知識をまとめている。
薬は、「循環器系」「呼吸器系」「消化器系」など、高齢者がかかりやすい疾患別に分類して紹介。「骨・関節の疾患は緑」「眼の疾患は紫」など、疾患の種類によってわかりやすく色分けして掲載しているため、探しやすい。
また、高齢者の使用頻度が高いものを紹介し、薬品名やどんな効果があるか、注意点、副作用などを説明。中でも代表的な薬はカラー写真で紹介しているので、処方された薬の実物と見比べることもできる。
薬の紹介だけではなく、高齢者への薬の投与方法の注意点も解説。高齢者の服薬時に多いトラブルは、薬の誤嚥や唾液の分泌量低下による薬のつかえなど。その予防方法や、万が一トラブルがおきてしまったときの対応方法にも触れている。
「健康食品とともに薬を飲ませてもいいのか」「一包化されていない薬の服薬介助を頼まれたらどうすべきか」など、服薬介助の疑問点をまとめたQ&Aの項目もある。
<介護スタッフの方の薬に関する不安や疑問は非常に多種多様で、自身の薬剤師としての仕事のあり方を改めて考え直す機会にもなりました。各地で地域ケア会議などが開かれていますが、まだまだ連携不足の感は拭えません。今後我々は、より深い意味での連携をしていく必要があるのではないでしょうか>
コラムでは、「ジェネリック薬品とは」「抗ヒスタミン剤について」「AEDを使えますか」などについても紹介し、巻末にはジェネリック医薬品と先発医薬品の対応表付き。
介護と医療をつなぐ上で最低限知っておきたい薬の情報がコンパクトにまとまっており、この一冊を手元に置いておけば、安心して仕事に取り組めるのではないだろうか。
<松原圭子>
著者プロフィール
中澤巧(なかざわ・たくみ)さん
昭和薬科大学薬学部薬学科卒業。日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師。調剤薬局で働く傍ら、ケアマネジャー、ヘルパーなど介護従事者を対象とした薬のセミナーの講師も務める。
長野一勢(ながの・いっせい)さん
昭和薬科大学薬学部薬学科卒業。積極的に在宅医療に携わり、患者宅での薬剤管理指導や他職種とのカンファレンス、地域医療介護連携会議への参加などを行っている。