■書名:認知症は治せる(奇跡が起こる「コウノメソッド」)
■著者:河野和彦
■発行:マキノ出版
■発行年月:2011年12月30日
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認知症は治る時代に! 劇的な変化をもたらす「コウノメソッド」とは!?
厚生労働省によると、認知症高齢者の数は2012年で約462万人。2025年には、700万人を超えると予測。65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症を発症するという計算になる。認知症には「治る病気ではない」「悪化する一方」「家族に迷惑をかける」というネガティブなイメージを持っている人が多いかもしれない。
しかし、その意見に異を唱えたのが、これまでのべ2万人以上の認知症の人を診察してきた医師・河野和彦氏だ。
河野氏が長年にわたる認知症診察の末に生み出した「コウノメソッド」を実践した認知症の人は、奇跡ともいえる回復ぶりを見せているという。
「コウノメソッド」実践者の回復例を挙げてみよう。
●1人で立つことや食事もできず、表情もうつろだった重度の認知症の女性(73歳)
同メソッド実践後の3カ月後には、登山できるまでに回復した。
●アルツハイマー型認知症の女性(75歳)
処方された薬の影響で余命半年と診断されたが、同メソッド導入後、自分の足で立ち、歩けるようになった。
●レビー小体型認知症の女性(78歳)
歩行困難、無表情、幻視、大声の寝言、誤嚥が頻発していたが、同メソッドを実践するようになったら症状が落ち着いた。背中が伸び、表情も豊かになり、誤嚥・歩行困難も改善。
本書では、劇的な回復を実現させている「コウノメソッド」とは、どのようなものなのか、そしてなぜ「コウノメソッド」で認知症が改善するのかを解説している。
コウノメソッドは、認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害など)よりも、周辺症状(徘徊する、暴力をふるう、うつ状態など)に着目した治療法だ。認知症を発症した場合、中核症状は進行するが、周辺症状は治療によって抑えることができるという。周辺症状を抑えることで、暴力や徘徊など、困った行動に振り回されるといった悩みも減少する。
本書で著者の河野氏が繰り返し伝えているのは、「薬の量が多いことによる薬害」だ。認知症治療には、興奮を促す「アリセプト」が処方されることが多いが、その投与量が問題とのこと。特にレビー小体型認知症の場合、規定量を処方しても、薬の副作用で症状が重症化してしまうケースがあるという。
同メソッドの中核的な考え方となるのは「家庭天秤法」だ。薬の副作用を出さないために、医師の了解・指示のもと、家族や介護職、看護師などが薬の量をコントロールする。そのためには、薬を減らすことに理解がある医師と出会うことも大切だという。本書では、「認知症を治せる医師の見つけ方」の章で、認知症を改善に導く病院や医師はどのようなものかを解説している。
<認知症が治せる時代はすでに始まっている。正しく診察し、適正な薬を処方し、薬の量さえ間違わなければ認知症はよくなる。医師が「治らない」というのは、こうした奇跡と出会ったことがないからである>
症例報告も豊富で、中にはグループホームで同メソッドを実践し、認知症を改善させたケアマネジャーの体験記も掲載されている。認知症と診断されて「もう治らない」と絶望的な気持ちを抱えている家族はもちろん、介護職も前向きになれるような情報が満載だ。
著者プロフィール
河野和彦(こうの・かずひこ) さん
日本内科学会認定内科医、日本老年医学会認定老年病専門医・指導医・代議員、日本老年精神医学会認定医・指導医、愛知県公安委員会指定医師。82年に近畿大学医学部卒業。88年、名古屋大学大学院博士課程修了。名古屋大学医学部老年科講師、愛知厚生連海南病院老年科部長、共和病院老年科部長をへて、2009年に名古屋フォレストクリニックを開院し、現在に至る。