■書名:病気にならない夜9時からの粗食ごはん
■著者:幕内秀夫
■発行所:青春出版社
■発行日:2013年5月
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不養生を改善し、仕事力の向上にもつながる食事法とは?
「医者の不養生」とは、人には「体を大切に」というくせに自分では無茶をしているような医者を揶揄する昔からの言い回し。とはいうものの、医療にしろ、介護にしろ、現場はとにかく忙しい。わかっちゃいるけど「昼はコンビニ弁当、夕食は不規則」になってしまう「健康のプロ」は少なくない。
そんな忙しい仕事人でも実現可能な「健康につながる食の提案を」と企画されたのが本書。著者の幕内秀夫さんは、病気予防や健康維持の観点から現代人の食生活の見直しを提唱している食の研究者。ご飯、みそ汁、漬け物、お茶という日本の伝統的な食事の組み合わせを基本にした「粗食ごはん」という『幕内式食養生法』はよく知られているが、本書でのアプローチも、仕事人の夜の食事をいかに「粗食ごはん」に近づけるか、という視点から語られている。
油や砂糖を極力控えた調理法の推奨も幕内流のひとつだが、仕事人としてはゼロにすることは難しいコンビニ食や外食を否定せずに、その活用法を具体的に提案してくれるところは幕内さんの柔軟さ。「コンビニで買うならおにぎりを」「油の多い料理を自炊するより、近所の定食屋を利用しよう」など、現実的で「これなら自分にできるかも!」と思わせるヒントが数多く紹介され、やる気を誘う。
「糖質制限」「マクロビ」「減塩」など、民間でよく話題になる食事療法の是非にも一章が割かれている。食事療法とは、そもそもそれによって病気が改善したという個人の体験から出発したものだから、人によって効果は異なる。真面目にやりすぎないで、ほどほどに付き合うのがよい――と幕内さん。「飲尿療法」(自分の尿を飲む健康法!)を含むさまざまな食事療法を、実際に試した経験をもつ幕内さんの見解だけに、説得力に富む。食生活のプラン作りやアドバイスも重要な仕事となる「介護のプロ」には、現場力の向上にもつながるテーマでもあり、一読をおすすめしたい。
自身の不養生を改善し、仕事力の向上にもつながる「粗食ごはん」。本書を参考に、自分流を探求してみてはいかがだろうか?
<佐藤>
著者プロフィール
幕内秀夫(まくうち•ひでお)さん。管理栄養士。1953年、茨城県生まれ。東京農業大学栄養学科卒業。フーズ&ヘルス研究所主宰。「学校給食と子どもの健康を考える会」代表。栄養学、食習慣の研究をもとに、病気予防と健康維持につながる現代人の食の実践法を提言。企業、学校などでの食事指導、各地での講演など幅広く活動している。著書に『粗食のすすめ』『1食100円「病気にならない」食事』などがある。