■書名:不幸な認知症 幸せな認知症
■著者:上田 諭
■出版社:マガジンハウス
■発行年月:2014年11月
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幸せな認知症のための道しるべ!認知症対応の「3つの鉄則」とは?
『不幸な認知症 幸せな認知症』というユニークな書名について著者の上田氏は、このように書いている。
<私がもっとも伝えたいと思ったのは、認知症は周囲の方の接し方や対応で不幸にも幸せにもなれるということでした。それはご本人だけではありません。ご家族も周りにいる人も不幸になったり、幸せになったりするのです。>
一般には、「認知症になってしまったら終わり」とか「認知症は不幸」と決めつけてしまいがち。
しかし、高齢者の認知症専門医として数多くの認知症を見てきた著者は、不幸な認知症だけでなく『幸せな認知症』もありうることを教えてくれる。
そして本書では、「どうすれば不幸なのか」「どうすれば幸せになれるのか」。その答えの道しるべとなる内容をわかりやすく説明している。
著者のメッセージは、その対象ごとに3つの章に分けられている。
第1章は、認知症になるのではないかと不安に思っている人
第2章は、認知症と診断された本人
第3章は、認知症の人の家族や友人、介護関係者
介護関係者なら、自分に該当する章だけでなく、全編が参考になることだろう。
まず第1章では、「認知症は治らない脳の病気です」というストレートな言葉から始まる。
救いのない気持ちになりそうなところだが、著者はさまざまなタイプの認知症の解説をしたのちに、次のような発想の転換を促している。
<ボケたら困る、ボケないようにしよう、と思っていますか? ボケたっていいではないですか。認知症は早期発見で治る病気でもなく、予防もできません。90歳になれば6割は認知症です。だったら病気を恐れず、それまで楽しく暮らすほうがいいのではないでしょうか。>
また、第3章の、認知症の人に対する対応の鉄則も目を引く。
<家族や友人が認知症と診断されたとき、対応の鉄則が3つあります。「指摘しない、議論しない、怒らない」 あなたの生活をこれまでと少し変える気持ちでご本人を見守ってあげてほしいのです。>
「指摘しない、議論しない、怒らない」は、最近では表現を変えて広く知られている内容ではあるが、現在においても、完全に定着しているとは言い難い。
「アルツハイマー病は、初期の段階から患者は怒りっぽくなり、イライラし、暴言を吐く」と信じる人も少なくないはずだ。
しかし、実際に多くの認知症の人の変化を見てきた著者は、そのような怒りや暴言、イライラ、性格の変化は、
周りにいる人の発言や行動に対する精神的な反応なのだと考えている。
だから、大切になるのは周囲の関わり方であり、3つの鉄則「指摘しない、議論しない、怒らない」がポイントとなるという。
ここで紹介した内容以外にも、さまざまなメッセージが心に響く。
本書の冒頭部分には、各パートで訴えている3〜6行程度のメッセージがそのまま掲載されているので、全体を大まかに把握するのに役立つ。本書全体で語られている内容のうち、興味を持った内容から拾い読みしてもよいだろう。
著者プロフィール(引用)
上田 諭(うえだ・さとし)さん
京都府生まれ。関西学院大学社会学部卒業後、記者として新聞社勤務。1990年、北海道大学医学部入学。卒業後は東京医科歯科大学附属病院神経科精神科などに勤務。2011年より日本医科大学精神神経科講師。「高齢者こころ外来」のほか、身体各科の入院病棟での精神症状に対する診療を担当する。専門は、老年期精神医学、コンサルテーション・リエゾン精神医学、電気けいれん療法。
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