人手不足がなかなか解消されない介護業界。介護は、高齢者の毎日の生活を支えるという重い責任を負い、体力的にも厳しい仕事です。にもかかわらず、それに見合うだけの給与水準になっておらず、働きやすさについても、これまではあまり検討されてきませんでした。
しかし給与水準については、平成27年度の介護報酬改定後、全体で見ればようやく少し引き上げられつつあります(詳しくはこちら)。そして今、働き方も、時短勤務や夜勤専従勤務の導入など、改革が進められています(*)。
身体はきついがリフレッシュしやすい16時間夜勤
施設などでの夜勤体制については、法人ごとにいろいろなパターンがあります。多いのは、17時から翌10時などの「16時間夜勤」と、22時から翌7時などの「8時間夜勤」です。この2つの夜勤の勤務シフトとして多いのは、以下のようなパターンです。
▼16時間夜勤に多いシフト
夜勤(17時から勤務)→ 明け(朝10時に勤務終了) → 翌日は公休 → 出勤
▼8時間夜勤に多いシフト
夜勤(22時から勤務) → 明け(朝7時に勤務終了)当日は公休扱い → 出勤
16時間夜勤は、夜勤明けの翌日が公休日。丸1日半休めますから、リフレッシュしやすそうですね。ただ、16時間連続の勤務というのは、やはり身体がきついと聞きます。深夜から明け方の時間帯は、睡魔や疲れと闘いながらの勤務で、注意力が低下しそうです。また、夜勤明けの日には、記録を書いていて気づいたら昼を過ぎていた、という話も。そんなに長時間の拘束だと、帰宅後、疲れ果ててバタリと倒れ込んでしまいそうですね。
勤務は体力的に楽だが疲れが取れにくい8時間夜勤
一方、ユニット型特別養護老人ホームに多い8時間夜勤は、体力的には楽という声が多いようです。子育て中の人には、子どもと一緒に夕食を食べたり、お風呂に入ったりしてから出勤できるところがいい、という人も。ただ、朝7時の夜勤明けの日が公休扱いになるのがつらいという声はよく聞きます。朝まで働いていたのになぜ公休? 納得できない、という意見もあります。
仮眠の時間がないまま、8時間連続で勤務したあとですから、帰宅後はやはり一眠りしますよね。午後、起きてから出かけても、次の日が勤務だとあまり夜遅くまで遊ぶ気にはなれないかも。といって、身体を休めようとあまり寝過ぎても体内時計が狂ってしまいそうです。夜勤の入りの日は夜まで自由に過ごせるといっても、仕事が控えているため遠出はしにくいですし、夕食時の飲酒はNG。不規則な勤務の中で、どうリフレッシュするか工夫する必要がありそうです。
中には、夜勤→夜勤→夜勤明け公休→公休というシフトの法人もあります。これなら40時間以上連続で休めますから、少しはリフレッシュできそうですよね。ただ、2日連続の公休で1泊旅行に行っても、初日はどうしても寝てばかりになってしまうという声もあります。
自分に合っている夜勤体制は?
新聞記事で紹介されている夜勤専従職員という勤務体制は、発想を転換した第3のパターンです。これは、3日または4日連続で夜勤をしたら、4日または3日連続で公休をとれます。これなら、日勤や遅番、準夜勤、夜勤などが入り乱れるシフト勤務より、生活リズムを作りやすそうです。しかし、家族とはすれ違いになることが多いですから、子育て中の人には厳しいかもしれません。
どのパターンの夜勤体制も一長一短あり、どれが一番いいとは言い切れません。どの夜勤が合っているかは、家族の状況や睡眠リズムなど、人によって違います。施設での勤務を考えているのであれば、夜勤体制がどうなっているのか事前に確かめた上で、よく検討した方がよさそうです。
* 介護の現場も「働き方改革」 人手不足、解消目指す (日本経済新聞 2016年4月12日)