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2018年07月12日

外国人介護職の誕生で、介護の未来は変わる?介護人材不足解消の鍵となるか | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

深刻な介護人材不足。2035年には介護職が68万人不足する事態に

これからますます高齢化が進んでいく日本において、介護人材の不足は切実です。
2025年に32万人、2035年には68万人もの介護人材が不足するという推計を、2015年に経済産業省が示しています。その後も人材確保が進んでいるとは言えません。
介護施設を開設しても人員配置基準を満たす職員の人数が確保できず、フルオープンできない事態が今も見られます。


出典:経済産業省「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会 報告書」(2018年4月9日)


経済連携協定(EPA)で外国からの介護人材の受け入れがスタート

国内で介護人材の確保が難しいなら、外国人介護士を受け入れるべきではないか。そんな声もあり、2008年から始まったのが、経済連携協定(EPA)に基づいた、インドネシア、フィリピン、ベトナムからの人材受け入れです。
最長5年の在留期間中に介護福祉士の資格を取得できれば、その後は在留期間を回数制限なく更新できます。

しかし、名目上、EPAによる人材受け入れはあくまでも相手国との経済的な連携を強化するための国際人材交流が目的。介護福祉士候補者の受け入れ人数も2017年9月時点で累計約3500人に留まっており、人材不足への対応にはなっていません。

EPAによる2017年度介護福祉士国家試験の外国人介護士の合格率は、インドネシア人38.5%、フィリピン人37.8%。他の2国より日本語能力の高い人たちが来日しているベトナム人だけが、初めて受験資格を得た年度にもかかわらず、全受験者平均の70.8%をも上回る93.7%の合格率でした。
ベトナム人が合格率を引き上げたことで、この年の外国人介護士全体での平均合格率は50.7%となりましたが、それでも半数は不合格です。
介護福祉士の試験は一度の受験で不合格でも、希望すればもう1年在留し、翌年もう一度受験することもできます。しかし、2017年度の再受験者の合格率は平均30%に達しませんでした。EPAの枠組での外国人介護士の継続的な就労は、簡単とは言えない状況です。


外国人介護職を受け入れる制度が続々誕生。長期在留・長期就労も可能に

その後、2017年から「外国人技能実習制度(実習制度)」による受け入れが始まりました。
この「実習制度」は、開発途上国の経済発展を担う人材の育成を目的に、1993年から制度化されたもの。農業や建築など、決められた職種のみ受け入れ可能な制度でした。
それが2017年の法改正で、在留期間が最長5年となり、対象職種も拡大。このとき、介護を学ぶ人材も受け入れ可能になりました


「経済財政運営と改革の基本方針2018(仮称)」をもとに筆者が作成<クリックで拡大>

さらに政府は、2018年6月、労働力確保を目的に、外国人労働者の新たな在留資格を設けることを閣議決定しました(*)。これは、「実習制度」で5年間日本に在留した外国人などを対象に、さらに5年間在留できるようにするもの。
新たな5年間の在留中に介護福祉士等の資格を取得すれば、専門性を持って働く外国人に与えられる在留資格への移行を認める方向です。
2019年4月の導入を目指しており、専門職としての在留資格に移行できれば、在留期間の上限がなくなり、家族を呼び寄せることもできるようになりそうです。

給与水準も、EPAでの受け入れ同様、日本人と同等以上が確保されることとなっています。月額賃金が15万円前後の技能実習生より待遇が良くなるため、ようやく日本で長く働いてもらえる、海外からの介護人材受け入れの道筋がつくられるというわけです。
政府は、これで来日する、外国人介護士を含む外国人労働者が増えると予測しています。

これまで来日し、介護の現場で活躍している外国人介護士は、同僚、利用者からおおむね良い評価を受けているようです。これから新しい枠組みでの受け入れ人数は増えていくのか。増えていったとき、介護の現場に何か変化が表れるのか。介護人材不足の解消につながっていくのか。
介護現場でともに働く仲間となり得る外国人介護士の動向についても、注視したいですね。

<文:宮下公美子 (社会福祉士・臨床心理士・介護福祉ライター)>

*骨太の方針 閣議決定 外国人に新在留資格 労働者受け入れ拡大(毎日新聞 2018年6月16日)

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