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2018年09月06日

介護と育児の「ダブルケア」。介護家族のために、介護職には何ができる? | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

介護経験者の4割が「ダブルケア」を経験している現代

育児と介護を同時に担う「ダブルケア」。最近はしばしば耳にするようになりました。
2018年7月、生命保険会社が行った調査で、ダブルケア経験者1000人のうち、30代で育児より先に介護に直面した人が2割を占めていることが明らかになりました(*)。

30代の人の親世代は、50代後半~70代前半ぐらいでしょうか。この世代の親が、介護が必要になる確率は、実は決して高くありません。

要介護認定を受ける割合(要介護認定率)は、65~69歳で約3%、70~74歳で約6%です。75~79歳で約13%と一気に高まり、85歳を超えると5割以上が要介護認定を受けています。認知症の発症率もまた、年齢が高くなるほど高まることが指摘されています。
要介護認定率と認知症発症率のいずれも、70代前半までは、決して多くないのです。それでも、30代で育児より先に介護に直面した人が2割いるというのは驚きます。

この調査では、当初、30~55歳の男女約1万7000人を対象に自身のダブルケアの状況について尋ねています。
「ダブルケアに直面していない」という回答は全体の約6割。つまり、約4割が、「過去に経験した」「現在直面中」「現在直面中で過去も経験した」「数年後に直面する」と答えているのです。

約4割の人がダブルケアに直面した、もしくは直面しているとは、在宅介護サービスに携わる方も、考えていたより多いと感じたのではないでしょうか。にもかかわらず、これまでダブルケアの問題が表面化してこなかったのは、ダブルケアで悩む人たちが声を上げる先も、支援の受け皿もなかったからです。


孤立無援になりがちなダブルケア。介護職は積極的な声かけを!

多世代・多世帯が同居していた時代であれば、ダブルケアの負担は分担され、軽減されたことでしょう。しかし、核家族化し、きょうだいの数も少ない今の時代、ダブルケアの負担を分担してもらえる人は多くありません。

ダブルケアの経験者に話を聞くと、「子育て中の友人に、子育ての相談はできても介護の相談はできない」「ケアマネジャーに、子育てとの両立の悩みを相談することを思いつかなかった」などの声があります。
確かに、子育て仲間にダブルケアの悩みを相談するのは、難しいかもしれません。誰にも頼れず、全てを抱え込むダブルケアの当事者は少なくないようです。

介護と育児のダブルケアの悩みについて、当事者が声を上げられれば、もしかしたら周囲には同じダブルケアに悩む人がいるかもしれません。しかし、そうしたつながりないため、相談も愚痴も言える相手がいない。これでは、ストレスを軽減することができません。

生き方が多様化したことで、介護そのものの悩みだけでなく、ダブルケア、仕事と介護の両立など、様々な悩みを抱える人が増えています。支援に当たる介護職はそうした世の中の変化に敏感になり、利用者やその家族が置かれている様々な状況を考え、支援の手を差し伸べていくことが大切です。

小さい子どもを連れて、利用者の家を訪れている娘さん・お嫁さんには、「子育てとの両立で困っていませんか」と声をかける。仕事を早退して、サービス担当者会議に駆けつけてくる息子さんには、仕事への支障は出ていないかを確かめる。

声をかけ、つらさに耳を傾けるだけでも、孤立無援と思っている家族は救われます。
そして、そこからさらにもう一歩。地域の社会資源や、子育て支援の制度、介護休暇など仕事との両立支援の制度について理解を深めておく。悩んでいる人同士をつないでいく。
そんな支援をすることで、家族が抱える負担を軽減できるようになりたいものです。

<文:宮下公美子 (社会福祉士・臨床心理士・介護福祉ライター)>

*30代2割、育児前に介護直面 ダブルケア経験者調査(日本経済新聞 2018年7月19日)

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