21年度介護報酬では「制度の安定性・持続可能性の確保」が柱の一つに挙げられた。
その一環として、今年10月よりサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム等(以下「高齢者向け住まい等」)の入居者のケアプランの点検・検証が実施される。
介護保険サービス事業所が併設する高齢者向け住まい等で、家賃を不当に下げて入居者を集め、その収入の不足分を補うために入居者ニーズを超えた過剰な介護保険サービスを提供している場合があると指摘されてきた。
そこで、都道府県の福祉部局と住宅部局が連携し、介護保険サービス事業所が併設等する高齢者向け住まいの特定と、入居契約内容の確認を行うこととした。
家賃を不当に低く設定している場合や、要介護度別に家賃を設定している場合など、家賃の設定が不適切な可能性のあるケースの情報を市町村に提供する。
それをもとに市町村が、入居者のニーズを超えた過剰なサービスを位置付けている不適切なケアプランを作成している可能性がある居宅介護支援事業所を把握。
ケアプランの内容が入居者の自立支援や重度化防止などにつながっているかを点検・検証する。
不適切なケアプランを作成している居宅介護支援事業所が判明した場合は、ケアプランの改善を指導し、事業所の運営自体に問題があった場合は実地指導を行う。
また、不適切なケアプランに基づいて介護サービスを提供した事業所についても実地指導等を行うことを求めている。
区分支給限度基準額の利用割合によるケアプラン点検
高齢者向け住まい等の入居者は比較的自立度が高く、介護サービスを多く使用せずに生活できる人が多い。
そのため、高齢者向け住まい等の入居者のケアプランについて、区分支給限度基準額の使用割合が高い人が多い場合は、ケアプランを作成した居宅介護支援事業所を抽出し、プランを優先的に点検していく。
抽出方法は、国保連が運用する介護給付適正化システムを活用する予定。
「区分支限度基準額の利用割合が〇割以上」などの条件を入力することで、ケアプランを抽出し、作成した居宅介護支援事業所に結び付けるイメージだ。
利用割合については、厚労省は示さず自治体ごとに任意に設定できる。
2004年に導入された同システムは被保険者や事業所ごとの給付実績を通して把握できる範囲で、サービス提供の偏りなど不適切・不正な事業所を絞り込むことができる。
介護報酬改定でも、「区分支給限度基準額の利用割合が高く」かつ「訪問介護が利用サービスの大部分を占めるケアプラン」を作成する居宅介護事業所が、市町村の求めに応じてケアプランを届け出ることが規定された。
同省は、この取り組みの他、高齢者向け住まいのサービス提供の点検・検証については、通所介護等、訪問介護以外のサービス利用状況についても着目した点検・検証を呼びかけている。
<シルバー産業新聞 2021年4月10日号>