「標準化ではなく土台」
厚生労働省は6月22日、「適切なケアマネジメント手法」の手引きを公表した。
「適切なケアマネジメント手法」は、国が2016年度から検討を始め、▽脳血管疾患▽大腿骨頸部骨折▽心疾患▽認知症▽誤嚥性肺炎の予防――の5つのケアマネジャーが取り扱う可能性が高い疾患別に、想定される支援内容やアセスメント・モニタリングをまとめたもの。
これまでの5年間で「一定の完成」となり、今年度からは現場への普及段階へ移行する。そのためのツールが今回の手引きだ。
手引きでは、「適切なケアマネジメント手法」を、「どのケアマネジャーが担当しても、本人からみて一定の水準のケアマネジメントを提供できること」を目指し、想定される支援内容を体系化したものと定義。
本来必要なケアの抜け漏れを防ぐことや多職種連携の推進を図るという(図)。
また手法は利用者個々にあったプランを立てるための、あくまで土台であり「決して標準化ではない」と強調している。
基本ケアと疾患別ケアの2階建て
「適切なケアマネジメント手法」は、基本ケアと疾患別ケアの2階建て構造が特徴。
それぞれに▽想定される支援内容▽支援の概要、必要性▽関連するアセスメント・モニタリング項目▽相談すべき専門職――を一覧にしている。
例えば、表は「誤嚥性肺炎の予防」の想定される支援内容の大項目、中項目のみを抜粋しているが、一覧ではさらに「摂食機能の改善・維持」「嚥下トラブルなく食事をとることの支援」「フレイル予防のために必要な栄養の確認」など小項目に分かれ、それぞれに細かく支援内容やアセスメント・モニタリング項目が示されている。
基本ケアと、利用者に状態に応じた疾患別ケアを組み合わせて参照することを手引きでは呼びかけている。
実際の活用シーンとしてアセスメントやプラン原案作成時以外にも、▽担当事例の自己点検▽研修▽カンファレンス――などでの活用例も紹介している。
研修では、事前に「適切なケアマネジメント手法」で自己点検を行い、結果を持ち合って共有しあうことで、参加者に不足している項目などが浮かび上がる。
それを補う研修を企画するなどで、支援の幅を広げることに繋がると説明する。
「適切なケアマネジメント手法」の普及ツールとして、今回の手引き以外に解説動画が公開されている。
<シルバー産業新聞 2021年7月10日号>