毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、多くの訪問ヘルパーが頭を悩ませる「窓の掃除問題」について紹介します。
訪問ヘルパーがやってはいけないこと
ご存じの通り、訪問ヘルパーの仕事には「生活援助」と「身体介護」の2種類がある。大雑把に言えば、「生活援助」は掃除・洗濯・炊事など日常の家事のサポート。「身体介護」は食事や排泄など、直接体に触れるサポートを行なう。
これだけを見れば、「資格を持っているヘルパー」と、いわゆる「お手伝いさん」は似ている部分も多い。そのため、利用者も混同してしまうことが多いのが現状だ。
しかし、国の介護保険が適用されるヘルパーには、「やってはいけないこと」が多数設定されている。
●訪問ヘルパーが「やってはいけないこと」
・利用者以外の部屋の掃除、洗濯、炊事
・庭の草むしり
・草木への水やり
・ペットの世話
・窓の掃除
・床のワックスがけ
・家具の移動 など
この中でも「窓の掃除」は、しばしばトラブルのもとになるという。
利用者や家族からクレーム多数
都内の事業所に勤める訪問ヘルパーに話を聞くと、
「窓ガラスをしげしげと見つめた後に、『お宅はさぞかし暗いんでしょうね』と言われた」
「『見えるところを掃除するのは当たり前。見えないところをキレイにするのが“掃除”なのよ』と怒られた」
このほかにも、掃除の際に窓拭きをしなかったことで、利用者やその家族からクレームを付けられたという経験を持つヘルパーは多数存在している。
ルールを説明してもわかってもらえないことが多く、あるヘルパーは「前の人はやってくれたわよ」と言われてしまい、何とも肩身の狭い思いをしたのだとか。
というのも、ヘルパーの間でも「窓の掃除」を巡る解釈は分かれているのだ。ネットの書き込みを見ると、
「窓拭きも掃除の一部」
「掃除のかわりとして(窓ふきを)行なう」
「よほど汚れていれば、利用者の健康を害するので(窓を掃除する)」
など、“マイルール”を適用しているヘルパーの姿が見受けられる。
この窓掃除の件や、食事の用意(利用者が2人暮らしでも、作るのは利用者の分のみ)、洗濯(食事の用意と同じく、利用者の分のみ)などは、いずれもヘルパーにとって鉄板のトラブルネタ。「融通が効かない」「非常識」などと、利用者や家族から非難を浴びることがしばしばだという。
話を聞いたヘルパーの1人は、「杓子定規にルールに従ってたら、ヘルパーなんてできない」と述べ、「窓拭きなんか簡単なんだから、(文句を)言われたらやります」と公言。ルールに照らせば、こうした行為は“アウト”だが、現場ではそういった実情もあるようだ。
公開日:2015/6/8
最終更新日:2019/4/2