毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「介護保険制度と現実とのギャップ」について紹介します。
高齢化社会の到来に備え、国が介護保険を導入したのは2000年4月1日のこと。以後サービス事業者も増加し、家庭の介護にかかるコストも随分改善されたようにも思えるが……その一方で、介護保険制度で規定されたサービスと、現実の介護現場でのギャップが浮き彫りになっているようである。
在宅介護をする家族の悩み相談を受けるボランティアの方は、さまざまな相談をふまえ、「介護保険のサービスだけでは実際の介護をすべてカバーすることは無理」と断言する。
例えば、部屋の掃除。
原則としてその介護者がいる部屋のみしか保険は適用されないため、「掃除に負担を感じる人が依頼をする訳で、掃除自体はありがたいけど家の中の一部であれば結局家全体の掃除はしなければならず、負担的にはあまり変わらない」という。
例えば、調理。
こちらも原則介護者一人分の料理しか保険の適用とならないので、「家族は結局自分の分を別に作らねばならず、調理の手間は変わらないし、材料の用意の手間が増える場合もある」そうだ。
他にもさまざまなギャップが発生しているというが、前出のボランティアの方は、「その現実を受け入れることが大切。その上で自分たちで介護をする、という覚悟が必要」と強い眼差しで言い切る。
制度開始から13年。今年5月28日に発表された厚労省の最新データによれば、第1号保険者数は3072万人、要介護(要支援)認定者数は554.5万人になったそう。しかし介護職員の数は全国でおよそ百数十万人。制度的にも、数字的にも、国の介護政策はまだまだ改善の余地があると言えそうだ。
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