毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「世代間ギャップがくっきり!電話は珍事件の宝庫」という話題について紹介します。
携帯電話の普及でコミュニケーションに変化
平成の30年間には色々な進歩や変化が起きたが、中でも劇的に変わったのが携帯電話の登場だ。
日本での携帯電話の所有率がほぼ100%に達したことで、固定電話の時代と電話のルールは激変。
さらにメールやSNSの普及により、コミュニケーションの方法は日々変化している。
電話での話し方がわからない?!ケータイ世代
最新の通信機器を次々と取り入れる若者が、固定電話さえ珍しかった世代のお年寄りと触れあえば、当然珍事件は生まれるもの。
10代、20代のヘルパーには、昔の電話事情は驚くことだらけのようだ。
訪問介護事業所で働くハラさん(40代・女性)がいう。
「我々の世代では、電話をかける際に家の電話を使うのが当たり前でしたが、現在20代の子は、他人の家に電話を掛けるという経験をしたことがなく、家に固定電話がなかったという子も少なくありません。
新人の子にいきなり電話を掛けさせると、『どういう風に話して良いかわからない』と言います」
固定電話を使っていた時代は、友達より先に家族が電話に出る可能性があるため、「夜分遅くに失礼いたします」「○○と申しますが、○○さんはいらっしゃいますか?」など、最低限の敬語の使い方を覚えたものだが、それも過去の話。
今や若者の間では、メールやLINEなどのSNSで連絡するのが当たり前で、電話をすることが非常識だという意見さえあるほどだ。
この電話機は使えるの?黒電話の使い方がわからない!
また、電話機の使い方でも珍事件が起こっているという。
「ある20代のヘルパーの子は、お年寄りがダイヤル式の電話を実際に使っているのを見て、『置き物じゃないんですか?』と聞いたそうです。
利用者さんは笑いながら『アンタも電話してごらん』と言ったそうですが、その子はダイヤルの回し方がわからなかったと言っていました。
『アニメで見た大きい電話機が、利用者さんのお宅にありました!』と、嬉しそうに黒電話の写真を見せてくれた子もいましたね」
電話を掛ける利用者さんに、新人ヘルパーがびっくり
そしてこんな“事件”もあった。
電話番号がわからない時も、今ならパソコンかスマートフォンで検索すれば一発だが……。
「ある時、新人のヘルパーが『今日、利用者さんが、電話番号を調べるために電話をしていたんです!』と、興奮しながら報告するのです。
その利用者の方は、役所に電話する用事があったものの、番号がわからなかったよう。
ヘルパーの子が『私が調べましょうか?』と申し出たのですが、『大丈夫』と言われたので不思議に思っていると、いきなりどこかに電話をしたので、まったく意味がわからなかったそうです」
もう、おわかりだろう。その利用者さんは「104」に電話を掛けて番号を調べたが、その新人ヘルパーは番号案内の「104」というサービスの存在を知らなかったのだ。
ハラさんは、104というサービスがまだ存在していたことに驚いたが、それ以上に「104を知らない子がいる」ということにショックを受けたそう。
ハラさんは固定電話を普通に使っていた最後の世代だが、「昔は5軒や10軒ぐらいは電話番号を覚えていた」と若い子に話すと、彼らは感心することしきりだという。
昔はそのぐらい当たり前の話だったが、彼らの中でハラさんは「記憶力がものすごく良い人」ということになっているそうだ。