毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「訪問ヘルパーと利用者の恋愛」という話題について紹介します。
祖母の家を頻繁に訪問する孫。そのワケは…?
訪問ヘルパーと利用者の関係は、ある意味で家族以上に深く親密だ。もちろん訪問ヘルパーは、仕事で利用者のお宅を訪れており、公私混同するのはプロとして失格。しかし、ヘルパーが利用者のお宅で、「好き・嫌い」の恋愛感情を持ってしまうことは全くないともいえない。果たして、ヘルパーと利用者が恋に落ちることはないのだろうか?
都内の事業所に十年以上勤務する女性訪問ヘルパー・Hさんにこの疑問をぶつけてみた。すると、「よくあるのは、こんなパターンね」と、実例をあげて典型的なパターンを教えてくれた。
90代のA子さんは、広い一軒家にお住まいの裕福な女性。一人暮らしだが、どうやら定職についていない孫のTさんが近所に住んでいた。そして、その孫が、小遣いをせびりにしばしばやってくるようだった。
すると、A子さんいわく、ある時から孫のTさんが訪ねてくる頻度が、飛躍的に増えたのだという。A子さんは理由が飲み込めていないようだったが、訪問ヘルパーのHさんはすぐに理由が分かった。
「その家には、Fさんっていう20代の女の子の訪問ヘルパーが行ってたんですよ。可愛らしい子で、A子さんもすごく気に入っていて。孫のTさんがA子さんの家に行くようになったのは、完全にその訪問ヘルパーさんが目当てだろうなと」
Hさんがにらんだ通り、やがてその孫は、ヘルパーのFさんを食事やデートに誘うようになった。Fさんは「規則ですから」と、最初はガンコに拒否。しかし、その後、規則を破り、プライベートの携帯番号やメールアドレスを教えるところまで2人の関係は発展。が、結局、交際には至らなかった。
しかし、そういった事情を一切知らないA子さん。その後も、「ウチの孫はどう? 優しい子なのよ」と、ヘルパーのFさんに盛んに孫を勧めてきた。ヘルパーのFさんは、丁重にお断りしつつ、心の中で苦笑い。
A子さんはかなりの資産家だったため、「ちょっと惜しいことしましたね(笑)」とFさんは語っていたそうだ。
片思い・失恋…ネットにあふれる“介護恋愛事情”
このほか、インターネットの質問サイトを見ると、
「数ヶ月前から祖母の家に来てくれているヘルパーさんを好きになってしまいました」
「ホームヘルパーさんに恋をしてしまい、告白しましたが駄目ですと言われました」
といった質問が寄せられており、「交際している」という書き込みもある。
今回、A子さんのエピソードを話してくれたヘルパーのHさんは、以下のように、独自の分析をしている。
「孫とか子供ならありうる。でも利用者本人はないんじゃないかな。(利用者から)好意を持たれることはあっても、ヘルパー側が利用者を好きになるっていうのは、(利用者の)年齢的にあんまりないでしょう」
そして、
「たとえば、シングルマザーのヘルパーで、そういったこともひっくるめて面倒を見てくれる、っていう裕福な男性とくっつくようなパターンはあるんじゃないですか」
と勝手な分析は進む。
Hさん自身は、ヘルパーと利用者本人が交際に発展した例は聞いたことはないそう。しかし、介護の職場で言うと、社内恋愛や仕事場恋愛は、「ものすごく多い」そうだ。
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