毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「メリットだと思っていたのに……」という話題を紹介します。
就活も婚活も採用も「長所のアピール」が重要
転職・就職活動にせよ婚活にせよ、大切なのはとにかく自分の長所をアピールすること。
短い時間で簡潔に長所を伝えられれば、自ずと“勝率”は高まるはずだ。
それは求人広告でも同じこと。
より多くの人に興味を持ってもらうためには、「ここだけは負けない」というポイントをアピールするのが鉄則。
しかし、自分では長所だと思っていても、他人にとってそれが長所であるかどうかは分からない。
都内の訪問介護事業所で働くヨシダさん(40代女性)は、若者からのアドバイスにより、求人広告のキャッチフレーズを最近書き換えたという。
求人広告への反応が良くない…
介護業界一筋で働いてきたヨシダさん。
自らも訪問ヘルパーとして介護現場で働く一方、採用、若手ヘルパーの教育など、事業所全体に関わる業務も任されている彼女には、大きな悩みがあった。
定期的に地域に配っているヘルパー求人の折り込み広告への反応が悪く、上司から対応策を考えるように言われていたのだ。
ヨシダさんの会社は正社員やパートを合わせて100人ほどのスタッフがいるが、平均年齢が高く、近い将来人手不足になるのは明らか。
どうしても若いスタッフが欲しい状況が続いているのだ。
若者にウケそうなポイントって一体なに…?
事業所の求人状況について、ヨシダさんはこう語る。
「広告では『誰でも歓迎』と書いていますが、私たちの狙いは若者です。そのため、未経験OK、資格取得サポート、入社お祝い金の支給などに加え、余暇への補助、レジャーランドへの招待、クラブ活動が盛んなことなど、一生懸命知恵を絞って若者を集めようとしています。
結果として、若い子からも応募はありましたが、反応はイマイチ。こちらが狙ったような結果は得られませんでした」
高校生・大学生に聞いた!若者が求めているのは?
本当は若いスタッフが欲しくても、年齢で求人を区切ることは法律上できない。
そこで若者の気持ちを知るため、スタッフの子供の高校生や大学生に折り込み広告を見せて意見を聞くと、思わぬ指摘が寄せられたという。
「ヘルパーの給与に関しては、10代の子たちに不満はないようでした。むしろ、いま自分がやっているバイトの時給よりはるかに高いことに驚いていたようです。
ただ、多くの子が『気になった』と答えたのが、
『アットホームな雰囲気の会社です』という一文でした」
ヨシダさんが働く訪問介護事業所は、もともと家族経営で会社がスタートしており、現在90代の創業者は『社員は家族』という考え方。今どき珍しく、社員旅行や大忘年会などもあるそうだ。
「私はそんな社長の考え方も社員の仲の良さも好きで、長年働いてきました。
しかし、今の若い子たちは、
『アットホーム=プライベートまで踏み込まれる』という印象を抱くようで、敬遠してしまうとのこと。職場ではドライな人間関係を望む子が多いようです」
確かに最近の高校生を見ると、スマホでいつでも友人たちとつながっているのが当たり前の現代で、自分だけの時間も確保したいと思っているようにも見える。
『アットホーム』の受けが悪い、と聞いた所長は…
高校生たちの反応を見て、広告の「アットホーム」という一文を削るよう所長に相談することにしたヨシダさん。所長の反応も気になるところだ。
「『アットホーム』というのはいわば我が社の社訓です。これを求人広告から削ったら創業者はさぞ悲しむかと思いましたが、私の話を聞くと、『そうか!じゃあ“アットホーム”の言葉は使わないようにしよう!』とあっさり言ったので、拍子抜けしました。
部下の話をきちんと聞いてくれる人の下で働けて、本当に幸せだと思いましたし、時代を生き抜いていける人っていうのは、こういう柔軟な発想ができる人なんだと思いました」
『アットホームな雰囲気』と言えば、一般的には長所だと思われがちだが、誰もが望むものではないということ。
自分が長所をアピールする際にも、「自分が長所だと思っていることが、本当に長所なのか?」と自問する姿勢は求められそうだ。
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