毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「大相撲は、介護施設でも一大イベント」という話題について紹介します。
相撲が楽しみなのは利用者だけじゃない?
7月9日から大相撲名古屋場所が開催され、酷暑のなかで奮闘する力士たちの姿に日本国中が大いに盛り上がった。
今年1月には19年ぶりに日本出身横綱が誕生し、久々に相撲界が盛り上がっているが、介護施設では以前から大相撲中継は一大イベント。
都内の介護付き有料老人ホームのベテランスタッフのSさんはこう話す。
「ウチの施設では、大相撲が開催される際に『星取り大会』というものを行っています。これは、すべての取り組みの勝敗を予想し、15日間トータルの的中率を競うというもの。千秋楽終了後には表彰式もあり、優勝者には賞状や商品が渡されます」
場所前になると、「○○は調子が良い」「××はヒザが痛いみたい」といった情報が飛び交い、話題は相撲一色。イベントには男性のみならず女性の入居者まで、ほぼ全員が参加している。
Sさんの施設は夕食が17時30分からだが、中には食事そっちのけでテレビにかじりつく人もいるそうだ。このように利用者の満足度が高い星取り大会だが、スタッフにとっても楽しみなイベントだという。
Sさんは言う。
「相撲の期間中は、夕方になると利用者がほぼ全員、ホールに集まってテレビを見るので、何かとラクなんですよね(笑)。
相撲の結果に一喜一憂して、入居者同士でおしゃべりしてくれているので、スタッフが1人か2人、横で見守っていれば良くて。おかげで他の業務がはかどります」
訪問ヘルパーも相撲に助けられている
相撲で仕事が円滑になるのは老人ホームだけではない。都内で訪問ヘルパーとして働く女性のHさんは、仕事をはじめるまで相撲にまったく興味がなかったが、今ではすっかり相撲ファンだという。
「訪問ヘルパーになるまでは相撲なんて1度も見たことがありませんでした。けれども、ヘルパーになって、いざお年寄りの方とお話をしようとすると、天気のことぐらいしか話すことがなくて……。
大相撲をやっているときは、かなりの確率でみなさん相撲中継を見てらっしゃるので、相撲について勉強しました。
私みたいな若い20代が相撲の話をすると、お年寄りはとても喜んでくれるので、会話のネタとして相撲はとても重宝しています」
介護の知識や経験は介護スタッフとして必須だが、コミュニケーションが成立しなければ、せっかくの知識や経験も宝の持ち腐れ。
お年寄りともっとコミュニケーションを図りたい人は、相撲を勉強してみるのはいかがだろうか。