毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「介護士をやっていてよかったこと」という話題について紹介します。
介護士経験10年以上。大勢の高齢者を見てきて思うこと
仕事をやっていれば、必ず「この仕事をやっていて良かった!」と思う瞬間があるはず。逆に言えば、そういう瞬間が訪れない仕事や職場に長く居続けることは、非常に難しいかもしれない。
介護業界は、他の業種に比べて定着率が悪いというイメージを持たれたり、慢性的な人手不足が続いている。では、介護士という職業に就いた人は、どんな時に「介護士になって良かった」と感じるのか?
都内の介護事業所に勤務するAさんはこう語る。
「真っ先に思い浮かんだのは、『介護の世話にならない生活のありがたみ』が分かることですかね。やっぱり誰だってそうなんですけど、できれば自分のことは自分でやりたいし、誰かにやってもらうにしても、気心の知れた身内に身の回りの世話をして欲しい。だから私は、そういった前提をもとに、『いかに身内のような存在になれるか』を心がけて、利用者の方々と接しています」
すでに介護士として10年以上の勤務経験を持つAさん。彼女によれば、介護の世話にならないようするために、できることはいくらでもあるという。
「まずは足を骨折しないことですよね。階段や段差などで足を挫いたり骨折したりして、そのまま『入院→寝たきり→認知症』という例を、これまでイヤというほど見てきました。もちろん全員が全員じゃないですけれども、そういう人たちは普段から運動不足だったり、太り過ぎだったり、その両方だったりという人が多い。だから自分の両親や身内には、『とにかく歩きなさい』『年を取って骨折したらおしまいよ』と口酸っぱく言っています」
ちょっとした段差や階段、お風呂やトイレ、雨の日のタイル、さらに「睡眠中にベッドから落ちて骨折」など、骨折に至るパターンは少なくない。そしてこんなことも介護予防に繋がるという。
介護士は、両親にも感謝される?
「8020(ハチマルニイマル)運動をご存知ですか? これは『80歳になっても20本以上自分の歯を保とう』という運動なんですが、私の経験で言うと、介護の世話になる人は歯が悪い人が多いような気がします。物を噛む行為は、認知症の予防にも繋がりますし、『○○を食べたい』と思う欲求は、若々しさに繋がると思います」
かくしてAさんは、「運動になるから」と、父や母に積極的に家事をやらせ、食事の後には「ちゃんと歯を磨いた?」と尋ねる生活を送っているのだとか。
両親は、「年寄りをこき使って」と、いつもブーブー言っているそうだが、Aさんは「いずれ感謝する日が来る」と、まったく気にしていないそうだ。
公開日:2015/8/10
最終更新日:2019/3/30