毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「絶品料理がタダになる介護の仕事!?」という話題について紹介します。
介護施設の近くには飲食店が少ないことも
仕事がどんなに忙しくても、必ず必要なのが食事。
どんな高級車でもガソリンを入れなければ動かないように、人間は食事を摂らなければ働くことはできない。
介護の施設は、その性質上、広いスペースを必要とするため、近隣に飲食店がない場所に立地しているケースが多く、介護職員が食事に苦労するという話もよく聞く。
関東地方の介護付き有料老人ホームで働くイシノさんは、食事に関して非常に恵まれた環境で働いているという。
イシノさんが働いているのは、某県の高級住宅街に建つ、入居者が約40人の介護付き有料老人ホーム。
入り口には車寄せがあって、中庭の日本庭園では散歩が楽しめ、入居者がくつろぐサロンにはフカフカのじゅうたんが敷き詰められた、まるでホテルのような高級施設だ。
当然、入居金は高額で、入居者は富裕層ばかり。
イシノさんが「将来、暮らせるものならここで暮らしたい」とつぶやくほど、環境は素晴らしい。
高級老人ホーム一番の自慢は「こだわりの食事」!
そんな高級有料老人ホームでは、最大のセールスポイントは『食事』だとイシノさんがいう。
「お金持ちで、舌が肥えた方が入居されるからでしょうか。ウチの施設では、一流料亭で修業を積んだ料理人が入居者さんの食事を作っています。
料理は食材からこだわっていて、新鮮で安全性の高いものが使われており、季節や地域の旬を取り込んだものばかり。
職員も400円で同じ料理を食べることができるのですが、彩りが鮮やかで栄養バランスも考えられている料理は職員の間でも大好評です」
ちなみにイシノさんにお話を伺った日の昼食は、
『ブリの照り焼き、かぼちゃの煮つけ、いんげんの和え物、ご飯、お麩入りのすまし汁』
という献立。こんな食事が400円で食べられるとは、胃袋的にもお財布的にもうれしいもの。
ところが、実は介護職員はかなりの確率で入居者用の料理が無料で食べられるそうだ。
施設自慢の料理をタダで食べられるそのワケは
「入居者の方のもとには家族、親戚、友人が頻繁に訪問にいらっしゃいますが、施設では作れない料理を持ってくる方が少なくありません。
また、『ぜひご飯を一緒に』と、入居者の方がお寿司を取ったり、出前料理を頼んだりすることも多いのです。
すると、『イシノさん、今日の私のお昼ごはん食べて下さい』という流れになるんですね。
そうなると、施設で用意している美味しい食事をめぐって職員でジャンケン大会が始まりますよ(笑)」
かくしてイシノさんの施設では、介護職員は月に1~2度は、料理人が作った高級料理がタダで食べられるのだとか。
美味しい料理のおかげか、入居者も職員も笑顔が絶えることがないというイシノさんの有料老人ホーム。
食事の献立は毎食ブログで公開されており、施設の自信が現れている。
毎日欠かすことができない食事だからこそ、働く場所としてチェックするポイントの1つにしてみるという手はありそうだ。