毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「訪問ヘルパーのかけもち」という話題について紹介します。
「ヘルパーが、掛け持ちする理由は…」
何か仕事を探そうと思った時、もちろん最優先事項は「その仕事を自分がやりたいか・やりたくないか」だろうが、それと同じぐらい重要なのが「条件」だ。
介護業界は基本的に人手不足のため、仕事や求人は多い。しかし、仕事があっても自分が働きたい条件に折り合わない、というケースはあるはずだ。
「日曜も働きたいけど、今の事業所は日曜は定休日。だったら別の場所で…」、「グループホームで働きたいけど、今のデイも辞めたくないから、夜勤だけで…」など、複数の事業者で仕事したいと思う人もいるかもしれない。
正職員の場合は、副業が事業者によって禁止されていることが多い。しかし、登録制の訪問ヘルパーの場合はどうだろう?複数の事業所に訪問ヘルパーとして登録することは可能なのだろうか?
都内の事業所で働くHさんによれば、彼女の事業所にも、かつて“掛け持ち”をしている登録ヘルパーがいたそうだが、まったく問題視していなかったという。そういったヘルパーが掛け持ちをする理由について、Hさんはこう語る。
「簡単に言えば、『少しでも稼ぎたい』ということですよね。『家計の足しになれば』という感覚で働いている方なら、少々収入が上下しても問題無いでしょうが、例えばシングルマザーのヘルパーだったら、『シフトの都合で今週は2回しか訪問が入っていない』となったら死活問題でしょう。こちらとしては、そういったヘルパーさんに『掛け持ちをするな』と言う立場にはないと解釈しています」
「掛け持ちする前に、まずは事業所に相談を!」
「特に問題が起こったこともなかった」と語るHさん。しかしインターネットの質問サイトに寄せられた質問や、それに対する回答を見ると、
「現在2社で登録しています」
「私は、最大5事業所の時もありました」
「紹介される仕事の中で、自分に都合の良い時間の仕事だけを選んでいます」
など、実際に掛け持ちをしている人からの声が寄せられている。その一方で、
「掛け持ちしていいかどうかは、それぞれの事業所が就業規則で定めているはず」
「私の事業所は、同業での掛け持ちは禁止になっています」
といった回答もあった。結論を言えば、登録制の訪問ヘルパーもかけもちの可否は「事業所によってまちまち」ということのようだ。Hさんは、
「兼業を禁止しているところでも、人手は欲しいでしょうから、1度相談してみたらいいんじゃないですか? それに、そういうやる気のある人は事業所としてもありがたいから、(掛け持ちをしなくても済むように)相談にのってくれると思いますよ」
と、アドバイスしている。掛け持ちをするのにも色々な事情はあるだろうが、Hさんの言うとおり、まずは相談してみるのが良さそうだ。
公開日:2016/4/4
最終更新日:2019/4/13