毎回、ちょっと困った介護スタッフの珍行動や、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は「要注意の介護施設の見分け方」という話題について紹介します。
残業が1か月100時間を超える!?
近年よく使われるようになったビジネス用語が「ウィンウィン」という言葉。これは「Win-Win=自分が勝ち、相手も勝つ=両者にとってメリットがある」という極めて好循環な状況を指す言葉だ。
しかし、逆に「負のスパイラル=連鎖的に悪循環が起こる」という言葉もある。いざ悪循環に陥ってしまった場合、そこから逃れるのは難しいケースが多い。
介護施設で働く40代の女性・Cさんは、まさに悪循環としか呼べない状況に出会ったことがあるという。
Cさんは4年制の大学を卒業後、アパレル業界に就職。30代前半で結婚後、一旦仕事を辞めたものの、その後介護業界に飛び込んだ。そして夫の転勤に伴い、都合数軒の介護施設に勤務。現在は埼玉県の介護施設で働いている。
「数軒の介護施設を経験しましたが、どこも人手は不足気味でしたね。中でも、とある施設は最悪でした。夜勤明けにそのまま日勤させられたり、1か月の残業時間が100時間を超えたりという、いわゆる“ブラック施設”でした。当時は同僚と冗談で『こっちが介護してもらいたい』なんて言ってました」
その“ブラック施設”は退職したそうだが、介護という仕事自体には強い魅力を感じ、現在も別の施設で職員として働いているCさん。今ふりかえると、その施設は、完全に「構造的な問題」としか思えないような悪循環を抱えていたそうだ。
「人手が足りてないので、一人でも人員が欲しいわけですが、未経験の新人を教育している余裕がないんですよ。だから新人が入って来ると、ろくに教えずすぐ現場に出してしまう。すると新人は当然ミスをしがちだから、先輩はその処理に追われる。先輩は自分のことだけでも手一杯なのに、新人のミスの尻拭いで余計に時間がかかり、イライラして新人を怒る。新人はストレスを感じて辞めて、また人手が足りなくなる…これぞ悪循環ですよね」
介護施設の下見は重要!スタッフの表情から施設の状況が読み取れる
Cさんは、彼女なりの“危ない施設の見分け方”をこう語る。
面接は気をつけた方がいいですよ。先ほど話した施設の場合、1回の面接で即採用決定でした。しかも私が経験者だと分かると、希望条件や過去の退職理由も聞かず、『すぐ働けますか?』とつめよられました。今すぐから働いてほしい、くらいの勢いでしたね。
必要とされることはうれしいので、一瞬、悪い気はしないんですが、ろくに話もしないうちから採用を即決するところはどうかと思います。
それから“施設の下見”は絶対にするべきです。スタッフが挨拶をしなかったり、笑顔がなかったりしたら、要注意だと思います。ブラック施設かどうかは、スタッフの表情に現れます」
Cさんが語ってくれたのは、あくまでも彼女なりの判別法だが、なるほど説得力がある。ぜひ、参考として頭の片隅に置いておいてほしい。