毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「絶対に採用されない人」という話題について紹介します。
「履歴書は申し分ない」介護事業所の書類選考は通過したが…
現在、大学生は就職活動の真っ最中。街中には、リクルートスーツに身を包んだ学生たちがあふれている。
就職を希望する人は、当然「その会社に入りたい」と思って履歴書を送り、面接を受けているはず。しかし、“採用する側”に話を聞くと、ときに「本当にウチで働きたいのか」という人もいるそうだ。
都内の介護事業所で採用担当をしているミホさんは先日、「思わず、面接の最中に不採用を通告したくなった」という応募者に遭遇したという。
ミホさんはこう話す。
「ウチの事業所はかなり大規模で、新聞にも広告を出しています。先日、新入社員募集の広告を出したところ、想定を超える応募が。
普段は応募者全員と面接をするのですが、今回は書類選考で少し人数を絞りました。そして、書類選考の通過者の中に、Iさんという方がいました」
個人情報にあたるので、Iさんの経歴を細かく記すことはできないが、「履歴書は申し分なかった」と語る、採用担当のミホさん。
しかし面接の当日、ミホさんが面接室で待っていると、Iさんはマスクを取らずに入ってきて、そのまま面接に臨んだのだという。
マスクを取るよう求めたが頑として譲らず“逆ギレ”!
「最初は、『話すときになったら取るのかな』とか、『マスクを取らない理由を説明するのかな』と思っていたんですけど、彼女はマスクを取る素振りをまったく見せませんでした。
なので途中でマスクのことを質問したら、『花粉症が酷いんです。いけませんか?』と“逆ギレ”されました。私も長い間、採用を担当してきたんですけど、面接官に怒る人ははじめてでしたね(笑)」
ミホさんは、「アナタの表情が見えないと、どんな人なのかわからないから」と言ったものの、Iさんはマスクを取ることを頑なに拒否。
ミホさんはマスクを取らせることを諦めたのだとか。
「ウチの採用マニュアルに、『面接でマスク着用はNG』なんて記述はありません。
しかし常識的に考えて、マスクをしたまま面接を受けるのなら、『風邪気味で』でも『花粉症なので』でも『肌荒れが』でもいいですから、最初に理由を説明するべきでしょう」
もちろんIさんは不採用となったが、ミホさんはこう語っている。
「私は、彼女がマスクを取らなかったから不採用にしたわけではなく、意固地で融通がきかないところを見て不採用にしたんです。介護という仕事は、臨機応変に対応できないと務まらない仕事ですから」
さまざまな理由によりマスクが手放せない人もいるだろうが、もしどうしても取ることができないなら、一言申し添える心遣いが必要なようだ。