毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「進学校からなぜ介護業界に?」という話題について紹介します。
進学校を卒業後、高卒で介護業界へ進んだスズキさん
新年に突入し、間もなく受験シーズン。日本の大学進学率は近年50%を越え、今や大学に進まない人の方が少数派となっている。
関西地方の高校を数年前に卒業したスズキさんは、県立の進学校に通っていたが、高卒で介護業界に進んだ。
同級生たちが大学へ進学していく中、なぜスズキさんは介護業界に飛び込む選択をしたのだろうか?
スズキさんがいう。
「私は小さな頃からマンガやアニメが大好きで、将来はアニメ関係の仕事に就くのが夢でした。そのために専門学校に行こうと思っていましたが、尊敬するマンガ家の先生に会う機会があり、自作のマンガを見てもらったところ、『あなたのレベルでは、この世界でやっていくのは難しい』とはっきり言われてしまい、夢をあきらめました」
何となく進学するなら、働いて技術を身につけたい
高校での成績も悪くなく、教師からは大学進学を勧められたが、「夢をあきらめた以上、早く社会に出たかった」というスズキさん。
その背景には、スズキさんなりの冷静な分析があった。
「親や教師から進学を勧められ、心が揺らぎましたが、経済面を考えると浪人などできませんし、急いで勉強しても上位の大学には入れません。
目的もなく大学に行くぐらいなら、その4年間でさっさと何かの技術を身につけた方が良いと思いました」
しかし、世の中には実に様々な仕事がある。その中でもなぜ介護を選んだのか?
AI技術で「なくなる仕事」と「なくならない仕事」
「高校1年か2年の時、授業で『AIでなくなる仕事』というプリントが配られました。『AIの技術が進むことで、今まで人間がやって来た仕事が機械に奪われる』というものです。
ウチでは、父と兄がドライバーで、母は事務仕事をしています。ウチの家族の仕事がすべて“なくなる仕事”のリストに入っていたので、『AIでなくなる仕事』のことはよく覚えていました」
介護の仕事はなくならない!
「そんな中、“なくならない仕事”のリストの中で、自分にできそうで、なおかつ魅力的だったのが介護の仕事でした。
教師に相談すると、介護業界は高齢化社会の到来で将来性が高く、人手も足りていないと知り、介護の仕事をしようと即決したんです」
実際、介護業界に飛び込んでみると、大変なことも多いものの、やりがいがあり充実した日々を送っているのだそう。
高齢者の方と触れ合いながら仕事を進める介護の仕事は、機械ではなく人間にしかできないと身をもって感じているという。