毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「介護の資格は、取得支援制度を知らないと損!!」という話題について紹介します。
収入格差にがく然…。転職のため介護福祉士の取得を決意したカワムラさん
学歴、職歴、本人のやる気……転職や就職を有利に進める要素はいくつもあるが、何と言っても一番頼りになるのが「資格」。
しかし資格を取得するためには、努力はもちろん時間もお金も必要だ。
東京都内に住むカワムラさんは、未経験から介護福祉士の資格を取り、有料老人ホームへ転職した30代の女性。
資格を取る際にうっかりして、損をしていたことに後から気付いたという。
カワムラさんは、高校を卒業後に美容系の専門学校に進学。卒業後はカフェ、ペットショップ、飲食店、アパレルショップなど、気の向くままに転々と仕事を変えていた。30代が近づいても手取りが20万円程度で焦りを感じ始めた頃、学生時代の親友にばったり再会した。
彼女が仕事で悩んでいることを話すと、親友は「絶対に資格を取るべき」というアドバイスをくれた。親友は看護師になっており、カワムラさんと労働時間は大して変わらないのに、彼女の2倍近い収入があったのだ。
そこでカワムラさんは介護福祉士に狙いを定め、資格を取ることに。
人生2度目の専門学校に通い、無事に介護福祉士の資格を取得。今では都内の介護付き有料老人ホームで働いている。
資格を取る時に、実は損していた?!
カワムラさんが損をしたことを知ったのは、老人ホームに就職してからだった。
借金こそ作らなかったものの、資格取得のための学費で貯金を使い尽くした彼女。周りのスタッフが口々に「5年間は頑張らないとね」と言うので、「どうして5年なんだろう?」と思っていたが、ある時、その謎が判明する。カワムラさんがいう。
「私は専門学校の学費を全て自腹で払いましたが、専門学校を卒業して介護福祉士の資格を取った他のスタッフは、学費を借りられる制度を利用していたんです。
しかも、借りた学費は介護施設で5年間働くと返還が免除されるので、みな『5年間は頑張らないと』と言っていたのでした」
無利子の学費援助も!資格取得はお得な制度を積極的に利用しよう
カワムラさんが話しているのは恐らく、東京都がやっている「介護福祉士修学資金等貸付事業」のことだろう。
これは、介護福祉士の養成施設の在学者が無利子で修学資金を借りられる制度で、借りられる額は、「学費 月5万円×修学期間」「入学準備金 20万円」のほか、「就職準備金」「国家試験受験対策費」などがある。
「介護福祉士修学資金等貸付事業」の申込みには様々な要件があるが、カワムラさんもかなりの額を借りられたはずだ。彼女はこう語る。
「私は当時、『とにかく介護福祉士の資格を取りたい』という気持ちばかりが強く、クラスの子ともまったく付き合いがなかったので、情報が入ってこなかったのだと思います。きっと、案内の用紙も配られたのだと思いますが、ロクに読まずに捨てていたんじゃないかと……」
今となっては後の祭りだが、老人ホームでの勤務がまもなく5年目を迎えるカワムラさんは、貸付制度を知らなかったために数十万円(場合によっては100万円以上)をもらい損ねたことになる。
介護の資格を取るために様々な制度を利用するのは、もちろん恥ずかしいことではなく、れっきとした権利。
「介護の世界で働きたくて資格取得を目指しているなら、便利な制度は積極的に使うのをオススメします!」とカワムラさん。
これから資格取得を目指す人は、自分が借りられるお金や援助してもらえる制度がないか、しつこいほど調べてみるのが良さそうだ。