毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「高学歴で介護業界に飛び込んだ男性の計算と誤算」という話題について紹介します。
高学歴で介護業界に就職、そのワケは?
就職・転職を考える際、避けて通るのが難しいのが学歴の問題。
他の業界では、募集条件として高卒や大卒を掲げる企業が多い中、介護業界は応募の条件として学歴にはさほどうるさくない会社が多い。しかし、中には驚くべき高学歴の持ち主が応募してくることも。
関東地方のある介護付き有料老人ホームで働く20代の男性・カンダさんは、超難関国立大学卒だ。カンダさんはいう。
「私は大学の専門分野が社会学で、研究テーマは少子高齢化でした。そのまま大学院に進み、もっと研究を続けたかったのですが、経済的に余裕が無く、それなら少しでも学んだことを活かそうと思い、介護業界への就職を選びました」
カンダさんは家庭の事情で祖父母に育てられたため、お年寄りを助けたいという思いが非常に強かったのだとか。
友人はみな、名の知れた企業に就職し、カンダさんの選択を不思議がったが、彼が介護業界を選んだ背景には、きっちりと計算もあったという。
介護の仕事は今後もなくならない!
「金融業界や大手メーカーなどに就職を決めた同級生は、口を揃えて考え直すように言いましたが、私にはさっぱり理解できませんでした。
銀行や製造業などは、今後どんどんAIやロボットに仕事を奪われると思ったのです。
介護業界はそういったAIやロボットは介護職の代わりにはまだまだなれませんし、介護を必要とするお年寄りは今後もどんどん増えていきますよね」
カンダさんは精力的に介護の資格の取得に努め、入社数年目にして管理職候補になっているという。
まさかの誤算!入居者さんから口撃が…
そんなカンダさんだが、実際に介護の仕事を始めるといくつも誤算はあったという。
1つは入居者さんからの“口撃”だ。
「入居している方とおしゃべりをしていて、出身地や学歴などについて尋ねられることがありますが、大学名を言って、『何で老人ホームなんかで働いているんだい?』と、何度言われたことか……。
『両親は何て言ってるんだい?』とか『転職しろ』とか、言われ放題です(苦笑)。お年寄りの中には、介護の仕事を低く見る人は残念ながら少なくありません。私もある程度、覚悟していましたが、ここまでとは思いませんでした」
今でこそ冗談で言い返したり、上手に受け流したりできるようになったカンダさんだが、働き始めた頃は涙を流したこともあったとか。
「君みたいに賢くない!」先輩からにらまれた経験も
ただ、カンダさんが入居者さんとのやりとりよりも深刻に悩んでいたのは、周りのスタッフと仕事の仕方について話をするときだったという。
「就職してみると、『何でこんな面倒な方法でやっているんだろう?』『何でこんな簡単なことがわからないんだろう』ということが度々あり、それをいちいち指摘していたんです。
そうしたら、ある時、先輩の男性から殺気立った目でにらまれ、『皆が皆、カンダ君みたいに賢いわけじゃないんだよ』と、怒りを押し殺した声で言われてしまいました」
今ではその先輩とはプライベートでも遊びに行く仲だが、「皆が皆…」というセリフはカンダさんの心に深く刻まれており、常に「調子に乗ってはいけない」と自らを戒めているのだそう。
学歴や職歴に左右されずに、経験者も未経験者も広く募集されていることが多い介護業界。
ケア技術に限らず、優れた資質を持っていることは誇って良いが、周囲にも同じことを求めれば反発を招くことは肝に銘じる必要がありそうだ。
公開日:2019/11/11
最終更新日:2020/2/26
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