毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「梅雨はつらいよ」という話題について紹介します。
訪問ヘルパーにとって“鬼門”の梅雨
日本で暮らす大きなメリットのひとつが、四季を楽しめること。春夏秋冬、好きな季節は人ぞれぞれだが、好きだという人をあまり聞いたことがないのが梅雨だ。
「恵みの雨」とは言うものの、ジメジメとして洗濯物は乾かず、足もとはビチョビチョ。外出の機会も減りがちな時期だが、訪問ヘルパーにとっても梅雨は鬼門だという。
訪問ヘルパー歴20年近くのヨシミさんは語る。
「梅雨の時期は何かと気を使うことが増えるので、好きではないですね。中でも気をつけないといけないのが食中毒です。
真夏だとみなさん、『食べ物はすぐに冷蔵庫に』『冷蔵庫に入れ忘れた食べ物は捨てる』という意識が働くみたいなんですが、朝晩が涼しいこの時期は、冷蔵庫に入れ忘れてもついつい『イケる』と思ってしまうようです。
高い温度と湿度は食中毒がとても発生しやすいので、利用者さんや後輩ヘルパーにも気をつけるよう口酸っぱく注意しています」
ヨシミさんによれば、「冷蔵庫に入れればいつまででもOK」と思っているお年寄りも少なくないのだとか。
またヘルパーにとっては、気温が高くなったり、涼しくなったりというこの時期特有の問題もあるという。
訪問ヘルパーは雨の日の気づかいを
「この時期は、訪問するお宅によってクーラーや除湿をいれている家といない家があります。
だから、同じ格好をしていても、ある家では肌寒く感じ、ある家では汗をかき、といったことになり、結果的に体調を崩してしまうことが多いんです」
訪問するまでに雨で服が濡れてしまえば、風邪を引きやすいのは言うまでもない。それゆえ着替えは必須になるが、ヨシミさんは若かりし頃、こんなミスを犯したことがあるそうだ。
「その日は雨が酷く、“カッパ+自転車”で何軒か回るうちに靴がビショビショになってしまったんです。
何軒目かのお宅で、ふと廊下を見ると、私の足あとが付いているんです。靴から滲み出して靴下も濡れてしまったんですね。こっそり裸足になって廊下を拭きました」
濡れた靴下をそのままにしておくと臭うことからも、それ以来、必ず替えの靴下を持ち歩くようになったというヨシミさん。
自宅にお邪魔する仕事だけに、そういった気づかいも必要といえそうだ。