介護の世界で、情熱を持ってキラキラと輝いて生きている「情熱かいごびと」。仕事や職場を超えて介護の未来を対話する「未来をつくるkaigoカフェ」を主宰する高瀬比左子さんのお話は、心に染み渡りますよね。その最終回は、「介護の現場での離職」をテーマに語っていただきました。これから就職したい人、転職したい人に大いに役立つテーマです。
○●○ プロフィール ○●○
高瀬比左子さん
「未来をつくるkaigoカフェ」主宰
介護施設のケアマネジャーとして勤務するかたわら、未来をつくるkaigoカフェを主宰。職場や仕事のジャンルを超えて対話をする場を作ることで、理想の介護のあり方を模索する。(未来をつくるkaigoカフェの概要については
第1回のインタビューをご参照ください)
未来をつくるkaigoカフェ
*掲載内容は取材時(2014年)の情報となります。
「離職」についても話し合ってみよう
3月19日の未来をつくるkaigoカフェは「離職」がテーマでした。
――未来をつくるkaigoカフェでは、「離職」というストレートなテーマも扱うんですね。
はい。
介護業界では、様々な理由で離職をされる方が多い中、とりわけ人間関係を理由にして離職する人が多いように思うんです。
「介護の未来を対話する」未来をつくるkaigoカフェでは、介護に未来を感じていただくためにも、このテーマをみなさんで話し合うことは不可欠と考えました。
ただ、みなさんどんな理由で離職するのかを考える前に、そもそもの介護業界に就職する動機に立ち返ることも必要ですね。
―「募集が多く、近場で就職できるから」、「伸びている業界だから」、「とりあえず他にやりたいことがなかったから」、「生活のためにやむ負えず」というように、介護業界に就職する理由は、人それぞれですね。
「この仕事に情熱を持っている人にこそ、自分らしさを大事にしてほしい」と語る高瀬さん。2/15に開催された「日本の福祉現場力を高める研究大会」の講演より。
でも、どの仕事もそうでしょうけれど、介護の仕事もそんなに簡単なものではありません。
「募集が多く、近場で就職できるから」という軽い気持ちで入ってくると、あてがはずれるかもしれません。仕事内容も容易に思えるかもしれませんが、悩むことも多いですし、忙殺されることも多いですから。
また、「伸びている業界だから、これからは介護の時代だ」というような気持ちで仕事をすると、仲間たちから違和感を持たれるかもしれません。現場の仕事は、あくまで利用者様本位。ビジネス第一のような考え方の人は、受け入れられないのではないでしょうか。
やはり、「人の役に立ちたい」「この仕事が好き」という人でないと、続きにくいと思います。
自分を客観視する目を持ち、折れない心を育てて
――しかし、「人の役に立ちたい」と意欲に燃えて就職した人たちが、人間関係が理由で離職していくのは、しのびないですね。
はい。残念なことですが、介護の現場にいる先輩の中には、自分のやり方がすべて、という方もいます。「こうやりなさい、これでなければダメだ」という言い方で後輩を指導するんですね。
この業界に入ってくる方は素直な方が多いですから、言われるまま仕事をしてしまい、自分の目指す介護とのギャップを感じて折れてしまうことがあります。また、上から押さえつけるような人に気圧されて、ストレスを感じたり……。
事業所や施設単位の小さな社会の中で息詰まることが多いのかもしれません。
――それでは虚しいですよね。
マイナス情報にひきずられて簡単にやめてしまうのは、もったいないです。
先輩たちの中には、あまり深く考えずに、直球で物事を言う人もいます。言葉だけを真に受けず、上手に流す図太さも必要ですし、「あんな厳しい言葉で言うけれど、本当の意図は……」と、もっと
深く考える力もつけてほしい。そして、ときには、「私は違うと思うんです」と、ぶつかり合うことも必要です。ただ、若いときは経験もないですから、振り回されてしまうのも当然ですが……。
――では、どうすればいいでしょう?
だからこそ、職場を超えた人間関係を築いて、自分を、そして職場を客観視する目を持ってほしいです。
たとえば未来をつくるkaigoカフェで社外の人とつながり合うことで、さまざまな気づきが得られ、この仕事に希望を持って取り組める力が養われると思うのです。カフェに来られない人も、Facebookを通して、そのスピリットを受け取ってほしいと思います。そして、
簡単に折れない心を育て、未来につなげてほしいと、切に願います。
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