毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「クレームの証拠は……」という話題を紹介します。
各地で「あおり運転」が話題に
昨年、大きな話題になったニュースの1つが「あおり運転」。中でも、高速道路上で強引に車を停車させ、車を降りて後続の車の運転手を恫喝する男性の映像は大きなインパクトを呼んだが、これで注目を集めたのがドライブレコーダー(ドラレコ)だ。
録画という手段がなければ、事件がうやむやになった可能性もあり、恐怖を覚えた多くのドライバーがドラレコを買いに走ったという。
東京都郊外の訪問介護事業所で働くハセガワさんは、先日、変わった形でドラレコの威力を感じたそうだ。
利用者からクレーム!理由が分からず困惑
ハセガワさんは自ら訪問ヘルパーとして働く一方、パートで働く訪問ヘルパーの採用や教育も担当する40代の女性。経験豊富で、仕事に不慣れな新人に同行することもあり、利用者からの信頼も厚いベテランだ。
そんなハセガワさんのもとにある日、利用者の家族から電話が掛かってきた。
「電話の内容は、『ヘルパーを変えて欲しい』というものでした。ご家族から事業所にそのような希望が伝えられることは時々ありますが、理由を聞かずに変えることはできません。
なので、その時にもヘルパーを変えたい理由を尋ねると、『母が嫌がっているから……』とのこと。
『だから、その理由を教えて下さい』『とにかく“変えて欲しい”と言っているんです』という不毛なやり取りが続き、いったんは私が折れましたが、所長に報告すると『きちんと理由は聞いて』と言われてしまい、直接会って話をすることになりました」
変更を希望されたヘルパーのHさんは、仕事の経験が浅い50代の女性。笑顔が少ないのは気になるが、テキパキしていて仕事は早いと他の利用者からの評判は良かったという。
『ヘルパーが怖い』利用者の言葉の真意は?
ハセガワさんが利用者の家族の元に出向き、『ヘルパーを変えて欲しい』という理由を直接聞くことになったが、家族から聞いた話は耳を疑うものだった。
「実際に会って話を聞くと、『Hさんが怖い』『冷たいし、口調もキツい』『やってほしいことをやってくれない』と利用者さんご本人が言っているとのこと。ご家族からの評価は散々でした。
これまでHさんにクレームが入ったことはなく、私もHさんが怖い話し方をするとは思えなかったので、『もう少し具体的に状況を教えて頂けますか?』と尋ねると、息子さんが出してきたのはドライブレコーダーの映像でした」
本来、ドライブレコーダーは車に設置するために作られたものだが、ヘルパーの仕事に不信感を抱いた家族は、自宅にドライブレコーダーを設置。
“証拠”をつかむために室内の様子を録画していたのだ。
ドラレコに記録されたヘルパーの態度にクレーム!
「家族に促されて映像を確認すると、Hさんは仕事をきちんとこなしているものの、ぶっきらぼうな話し方で、しかも口調が“タメ口”。確かに、人によっては怖いと感じてしまっても仕方ないものでした。
そして何より驚いたのは、ドライブレコーダーの性能です。部屋の中が360度バッチリ映っていて、声も鮮明に記録されていました。
実際の訪問現場の映像を見せられて、『こういう態度がイヤなようです』と言われてしまえば、『こちらの指導が足りませんでした』と謝るしかありませんでした」
ハセガワさんがこのような例に遭遇したのは初めてだったが、同僚に話すと、「介護職から虐待を受ける事件もあるから、監視カメラを付けている家だってあるわよ」と言われたのだそう。
ハセガワさんは、釈然としない思いをしたものの、実際に映像が役に立っただけに文句も言えず、周囲のスタッフに「手抜きは絶対ダメよ。録画されてるかもしれないからね」と、言っているそうだ。
利用者と介護職の信頼関係で成り立っている介護の仕事。できるなら『録画』に頼ることがないように、お互い誠意ある態度を心掛けたいものだ。
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