毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は「介護職は、化粧するべき? しないべき?」という話題について紹介します。
ヘルパーはメイクをしないと、喜ばれる?怒られる?
女性を美しくする一方、そのために早起きをしないといけないなど、面倒な一面もあるのが、身だしなみのひとつである女性の化粧。
メイクの力でグッと印象を変えることができるのは大きなメリットだが、「自分に似合うメイクがわからない」「上手にメイク用品を使えない」「お金がかかる」などの悩みも大きい。
介護スタッフの中でも、仕事中の化粧に苦労している女性は少なくないようだ。都内の事業所で訪問ヘルパーとして働くサトミさんはこう語る。
「私は顔色が悪く見られがちなので、可能な限り化粧をして利用者のお宅に行くようにしていますが、化粧して行くのも良し悪しなんです。
年配の女性スタッフの中には完全な“すっぴん”で利用者のお宅に行く人もいるみたいで、そういう人の直後に当たると、『ホステスさんがウチにやって来たのかと思ったよ~』なんて言われたりして。完全なセクハラですよね(笑)。
そうかと思えば、時間がないときに化粧をしないで行ったら、『どうしたの? 体調悪いの?』『顔色が悪いわよ?』と心配されたこともあります。多少の自覚があるとはいえ、私の素顔は何なんだ、っていう(笑)」
サトミさんの同僚の中には、ほぼすっぴんで利用者のお宅を訪問したところ、「女性が化粧をしないで人の家を訪ねるなんて失礼だ!」と、利用者の家族から怒られたスタッフもいるのだとか。
一方、都内S区の介護付き有料老人ホームで働くヨウコさんは、若い女性スタッフにこんな指導をしているという。
介護職のバッチリメイクはトラブルの元?
「ウチの施設はスタッフの男女比が1対9と、圧倒的に女性が多いんですが、若い子の中にはバッチリとメイクをして来る子がいるんです。
けれども勤務に入ったら、化粧を直すヒマはないですし、介助をする際に入居者の洋服や肌にファンデーションや口紅などが付いてしまうこともあります。
また、介護施設では男性の利用者によるセクハラ事件がしばしば起こるのですが、トラブルを起こした利用者を注意すると、『いや~キレイな子だなと思ってね』とか『久しぶりに化粧をしてる子を見て“つい”』なんてゴマかすんですね。
だから若い子には、『化粧したいんだったら、仕事が終わってからしなさい』と言っています」
ほとんどの女性スタッフはそういった指導に従うものの、中には「すっぴんなんてあり得ません」と、頑なにバッチリメイクを貫く子もいるのだそう。ただ、そういったスタッフがいると雰囲気が華やぐため、歓迎している利用者も。
好みは人それぞれなので、正解を導くのはなかなか難しそうだ。