ヘルパー2級の資格を取ったときから、「介護の仕事でプロになりたい」と考えていたMさん。当時、中学生の子どもがいましたが、扶養の範囲で働くのではなく、仕事で自立できることを考えたといいます。そうした中で勤務したのが、常勤での訪問介護事業所。しかし、1年後には転職を余儀なくされます。
*M・Wさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
M・Wさん(46歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…5年
●介護の仕事に就く前…靴メーカー販売促進担当、派遣事務職
●介護業界での転職回数…2回
●いままでの勤務先…訪問介護事業所、有料老人ホーム、デイサービス
●保有資格…医療事務、介護事務、介護福祉士
常勤の訪問ヘルパーの契約は1年で解消
訪問介護事業所には、常勤の形で就職しました。訪問ヘルパーは、2時間、1時間、時には30分という短い時間で働くことが多く、移動の時間がもったいないな、と思ったからです。常勤であれば、朝出勤して夜報告書を書くまでの時間をすべて勤務として認められる。ぜひ常勤の雇用形態がいいと思ったのです。
実際に働いてみても、常勤での勤務は、充実していました。職員同士の結び付きが強いし、利用者さんに対して責任感も強くなる。一人ひとりの利用者さんと長くきちんとお付き合いさせていただきたいという思いも、強く持てました。
しかし、事業所の運営方法が変わり、常勤での勤務は1年限りとなってしまったのです。パートであれば続けられたのですが、それならもっと違う経験をしたいと考え、別の事業所を探すことにしました。
そんな中で見つけたのが、家からそれほど遠くない有料老人ホームの求人。それまでは、通勤に40分程度かかっていて、遠いと感じていました。このホームなら、家の最寄り駅から2つ先の駅。通勤の条件はとてもよかったんです。
ただ、有料老人ホームだと、正職員になのに夜勤をしない、というわけにはなかなかいきません。中学生の子供と夫がいるのに、夜勤は難しい。それで、考えた末、パートで勤務することにしました。時給がとてもよかったので、9時から18時まで、週4回の勤務でも、月に12~13万円になる。それなら、平日の1日の休みを、家事や子供の学校の行事などに充てることもできる。自分には好都合だと思いました。
扶養控除が受けられなくなりますが、あまり気にしないことにしました。いずれ、もう少し子どもが大きくなったら、もっとキャリアアップしたい。いつまでも扶養控除にこだわっていては、停滞するような気がしたのです。
同じ利用者さんと1日関われるのが、老人ホームの醍醐味
有料老人ホームでの勤務も、自分にとっては非常にいい経験になりました。これまでは、ひとりの利用者さんの要望をお聞きして、その方のオーダーメイドのように支援ができる点は良かったと思います。しかし、関わりが1日1時間、それを週に2日、という具合で、その人の生活をみられるのはほんの一部分です。
老人ホームなら、1日の勤務の間、担当フロアの様子をずっと見ることができますし、夜勤の職員などと連携すれば、24時間分のモニタリングもできる。利用者さんにますます責任をもって支援ができる環境は、私にとって有意義でした。これまでは、利用者さんのお宅まで足を運んでいましたが、今はドアをノックすればすぐにお会いできる。具合が悪そうなときも、たびたび様子がうかがえます。
また、わからないことがあれば、先輩職員にすぐ聞ける環境もありがたいですね。その反面、職員同士のいざこざに巻き込まれることもありました。陰口があちこちで聞かれ、心穏やかに利用者さんと接することができないこともありました。
でも、そんなことに惑わされるのもおかしなことで、私たちはとにかく利用者さんに役立つことを考えていればいいのだと、思うようにしていました。
経験を積んだところで、介護福祉士の資格がとれたことも、自分にとっては励みでした。この資格を持って、もっと介護のプロを目指そう。そんな気持ちで仕事に取り組みました。
それなのに、体がうまく動いてくれなくなって……。日を追うごとに体調が悪くなるのです。これはいったい、なんの病気なんだろう……? 不安がつのってきました。
次回は、退職をして新たな展開を探るMさんの様子をお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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