20代にして、小規模多機能型居宅介護でグループリーダーを務めるK・Jさん。専門学校を卒業し、介護の世界に入ってすぐに、ご自分の介護の理想やスタイルを持ち、納得できる介護を目指してきました。転職も、その考えに沿うためにしてきた、ともいえます。Kさんの仕事への向かい方は、若い世代の介護職のお手本にもなりそうです。4回に分けてお伝えするKさんの転職体験談を、じっくりと読んでみてください。
*K・Jさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
K・Jさん(28歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…7年
●介護の仕事に就く前…福祉系の専門学校
●転職回数…2回
●いままでの勤務先…特別養護老人ホーム、福祉用具販売の営業(訪問介護も兼務)、小規模多機能居宅介護
●保有資格…介護福祉士
高齢者の役に立つ仕事に就きたい
高校時代は、美容師になるか、介護業界に進むか、迷っていました。美容師は、洋服が好き、おしゃれが好きなので、ずっとやってみたいと思っていたのです。でも、小学生の頃に祖父の死を経験したことが、進路を決める高校3年生の時期に急によみがえり、介護の仕事が「自分がすべきこと」のような気がしました。
幼い頃、父方の祖父母の家には、よく遊びに行っていました。祖母は優しくて親しみやすかったので、すぐに僕は「おばあちゃん子」になりました。しかし、祖父は認知症だったのか、いつもソファに座って前を見ていているだけで、話しかけにくい人でした。トイレもひとりで行くことができず、「なんだ、あのおじいちゃんは」と、避けるところもありました。しかし、僕が小学校6年のときにその祖父が亡くなり、自然と涙が出てきました。そんな自分に驚きました。そして、もっと話をすればよかった、もっと寄り添えばよかったと後悔したのです。
祖父への後悔の念を晴らしたくても、もう祖父はいません。ならば、「高齢者の役に立つ仕事」がしたい。そうすることが、祖父への償いになるのではないか……。その気持ちを、小学校6年生から少しずつ積み上げてきたのですね。気づいたら、美容師よりも介護職だ、と心が決まり、3年制の福祉の専門学校に進学しました。
毎日、ルーティーンワークだけで精一杯
就職先は、専門学校で実習をさせてもらった特別養護老人ホーム(特養)に決まりました。特養や介護老人保健施設(老健)は時間に追われるほど忙しい、とよく聞きますが、キャリアアップには欠かせない経験と思ったのです。特養なら、夜勤もあるし、身体介護の経験も豊富になる。多少キツイのは覚悟の上で、経験を大事にし、「石の上にも3年」、3年間は特養で頑張ろうと思いました。
最初の1年は覚えることばかりで、あっという間に過ぎました。しかし、落ち着いて仕事に取り組めるようになると、「これが自分のやりたい介護なのか?」と疑問に思うようになりました。
当時勤務していた特養は、重度な利用者さんが多く、食事介助やオムツ交換、入浴介助に時間を取られていました。ルーティーンワークをこなすことにパワーを使い切ってしまうのです。「その人の思いや願いを叶えて、より自分らしい生活をしてほしい」というのが、僕の願いなのですが、おひとりおひとりに願いを伺う時間すらありません。仕事のモチベーションは、だんだん下がっていきました。
なんとかしたくて、主任と相談しました。主任と仲良くなって、彼についていくことで、見えてくるものがあるだろうと思いました。しかし、逆にそれが周囲の目には「上司に媚を売っている」ように見えてしまったらしいのです。そして、主任にも、「自立支援のスタンスでやる介護がよいのでは」と伝えたかったのですが、言葉が足りなくて理解してもらえません。
もやもやとする中で、3年目には事故防止の委員会のメンバーになりました。これが、結果的に退職の原因になってしまいました。
次回は、上司とぶつかり、転職を決意する様子をお伝えします。
*K・Jさんの「私が転職した理由」…1回目、
2回目、
3回目、
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