利用者が本当に求めていることを理解して寄り添う介護の仕方を見出したTさん。その考え方を、たくさんの人に伝えたいと考え、今、行動しています。ひとりの介護職員という立場を超えて自分に何ができるか。次のステージも考え始めています。
*T・Tさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
T・Tさん(41歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…14 年
●介護の仕事に就く前…メーカー経理職、クリニックの医療事務
●転職回数…4回
●いままでの勤務先…特別養護老人ホーム、訪問介護事業所
●現在の勤務先…認知症対応型通所介護事業所
●保有資格…介護福祉士、介護支援専門員
その人らしさを大切にする介護を伝える
「その人の心の内を理解しようと努め、その人の気持ちや立場に添った介護」を身に着けていくうちに、認知症の高齢者のことを、もっと広くわかってもらいたいという気持ちが強くなってきました。身近な後輩職員に指導するのはもちろんですが、事業所を超えて知ってほしいと考えるようになりました。とりあえず今できることとして、事業所内で研修を開催し、自分の知識と経験を伝えることでスタッフの介護に対する理解を深めているところです。
また、うちの事業所には看護師が常駐していないので、医療・介護の専門的な判断を求められることが多くあります。本格的に具合が悪くなる前に、異変をキャッチして予防を実現できる力量も必要です。だから、外部のさまざまな研修も受けながら、自分を充実させることにも力を入れ始めました。
介護や医療の専門的な知識を得ること、そしてそうした中で、「その人の気持ちや立場に立った対応をする介護」を広く伝えることに、今の自分はこの仕事のやりがいを見出しています
広く伝えるためには、介護職員に研修として伝えるだけではなく、日ごろ介護に関わっていない人たちにも理解してもらわねば、と思います。どんな人にもこの視点をもって認知症の人に接してもらわないと、私たち自身が安心して認知症になれませんよね。
認知症対応型デイの利用者が減っている
仕事に関する自分自身のスキルアップについては、充実した活動ができているのですが、実は今、肝心の業務の部分で悩んでいるのです。
認知症対応型通所介護は、認知症に特化した専門施設ですが、最近では通常のデイサービスも有料老人ホームも、認知症の方を受け入れ、それなりに対応しています。そうなると、認知症対応型通所介護ならではの専門性が薄れてきてしまう。
認知症対応型通所介護は、介護保険の点数が高いので、通常のデイサービスより費用がかかります。通常のデイサービスと変わらない、と思われると、どうしても利用が制限されてしまいます。
また、認知症対応型通所介護のサービスに、物足りなさを感じる人も出てきています。
介護する家族が疲れを感じて、介護サービスを利用することが多いので、どうしても利用が宿泊に向かって行きます。小規模多機能型居宅介護やお泊りデイは、デイサービスとして使いながら、同じ場所で宿泊もできる。デイサービスだけの機能の事業所より、利便性が高いと思う方も多くなりました。
要するに、他の事業所に、利用者さんがどんどん流れて行っているのです。
結果的に、利用者さんが激減しています。職員4人に対して、利用者さんが3人という日もあります。これでは、経営が成り立ちません。また、私たち職員の専門性の高まりや、経験の深さにも影響してきます。
構造的な問題なので、営業努力をするにしても、限界があります。今まさに、スタッフと「この先、どうしよう」と悩んでいるのです。
ただ、介護の本質を伝えることは、実践し、伝えていきたい。どんな形でどう行動すればいいのか。転職も含めて、早急に考えて行こう、と思っています。
でも、どこでどう働くことになっても、私の中の気持はゆらぎません。
認知症の方が、困りごとなく暮らしていける環境づくり。それを、実現させていきたいと思っています。
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