介護業界で転職を考えている人にとって、採用側が求める人材がどういった傾向なのか、ぜひ知っておきたいこと。今回は認知症対応型の通所介護施設を展開する「デイサービス ふるさと 六浦」の管理者・生活相談員で、採用担当も務める坂本信尊さんにお話しを伺いました。
<取材・文 中条佳子>
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「デイサービス ふるさと 六浦」のオフィスに貼られた理念
○●○ インフォメーション ○●○
デイサービス ふるさと 六浦(アール・アンド・アール株式会社)
認知症対応型通所介護施設
神奈川県横浜市金沢区六浦3-9-3 D棟
TEL : 045-353-7737
FAX : 045-353-7738
http://www.furusato.net/top.html
人間関係を築くための「笑顔とやさしい声」
「デイサービス ふるさと」は、認知症対応型の通所介護施設です。その認知症に特化した在宅介護支援が評価され、現在ではこの地域ではなくてはならない存在となってきています。
「以前、認知症介護研究の長谷川和男先生の講演で『認知症の進行を抑えるのは“薬とケア”ではなく、“ケアと薬”なのだ』とおっしゃっていました。つまり“ケアが先”ということで、私たちケアを担うスタッフは、認知症の進行を少しでも緩和させる使命を担っているのです。在宅介護をする中で、『ふるさと』が無理ならグループホーム等への入所しかないという、在宅介護の“最後の砦”にしたいと考えています」(坂本信尊さん)
どこ施設でも受け入れ拒否されていた、暴力的行為のあるアルコール認知症の方が「デイサービス ふるさと 六浦」を利用しはじめたときのこと。ご利用当時には施設に足を入れる事も出来ない状態でしたが、送迎車の中でお話をすることから、ゆっくり時間をかけて人間関係を築きあげることに成功し、次第に食事や入浴、皆さんと一緒にレクリエーションが出来るまでになり、現在では午前中は落ち着いて過ごせるようになり、多くの曜日を通っていらっしゃるそうです。
こうしたサービスを提供する「デイサービス ふるさと」において、スタッフが必要とされているのは、人間関係を築くための「笑顔とやさしい声」だと言います。
「我々の施設では、ただ来てもらって楽しんでいただくのが目的ではなく、少しでもいい状態、進行しない状態を維持していくという、より大きな目的があります。そのためには、まず人間関係を築いていくことが必要です。笑顔とやさしい声のセットで、利用者様に良い印象や楽しい短期記憶を作ってもらって、顔を覚えていただくことが大切です」(坂本さん)
利用者様が楽しそうかどうかが、採用のポイント
「デイサービス ふるさと」が認知症対応型のデイサービスを行うことになったのは、元々運営していたグループホーム「ひまわり」の空き待ち状態の方が、どのデイサービスへ行ってもお断りされてしまうというケースが増えてきたことがきっかけでした。
「ご家族が他のデイサービス施設から断られて、嫌な思いをされていることがわかっていました。その方々のためにデイサービス事業を立ち上げ、私たちはどんな状態であっても絶対にお断りすることのない、デイサービス施設を運営しよう、との思いでスタートさせました」(坂本さん)
ご利用者・ご家族様が本当に困っている状態をなんとかしたい!とスタートし、そのニーズが着実に広がることで、施設が増設している「デイサービス ふるさと」。それに伴うスタッフの増員で、現状もスタッフを募集していると言います。まず一次面接が行われ、その後一日研修を受けることになるのですが、まずその研修のなかで適正を判断すると、坂本さんは言います。
「新入社員としての挨拶や礼儀は当然基本ですが、当社独自の基準としては、まず一日研修を行うなかで、利用者様が楽しそうかどうかということです。研修していただく方の動きも当然見させていただきますが、その周りのご利用者様の表情も見ています。利用者様の顔や表情で、そのスタッフがいい人かどうかを教えて頂けるのです。利用者様に偽りは通用しません。言葉では利用者様と接するのが楽しいといっても、偽りであればすべてご利用者様にはわかってしまうものです」(坂本さん)
一日の研修なので、なかなか判断は難しいそうですが、コミュニケーションの取り方を大きなポイントとして、この段階で問題がなければ、本社での二次面接へと移るといいます。
次回は、社内研修や教育についてお話を伺っていきます。
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