体育大学を卒業後、リハビリテーションのクリニックに就職したことをきっかけに、介護の世界に飛び込んだOさん。
何事にも全力で立ち向かい、デイサービスから居宅介護支援事業所のケアマネジャーに。
でも、そこにもとどまらず、新しいことを創造したい――。
そんなOさんの軌跡を、4回にわたってたどります。
*O・Nさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
O・Nさん(42歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…14年
●介護の仕事に就く前…リハビリテーションクリニックのスタッフ
●介護業界での転職回数…5回
●いままでの勤務先…デイサービス、居宅介護支援事業所
●保有資格…社会福祉主事、介護福祉士、介護支援相談員
友人の影響でリハビリテーションに興味を
体育大学ではバレーボールを専攻していました。
高校時代には部活でバレーボールに燃えて、そのまま続けたいと思ったから。
でも、選手として人生をまっとうするほどの実力がないのは、わかっていました。
だから、大学卒業後は就職しよう、と思っていたんです。
一般企業にはあまり興味がなく、リハビリテーションを中心に行うクリニックに就職しました。
「なぜリハビリなの?」と聞かれても、そんなに強い意志があったわけではなくて。
若い頃なんて、右も左もわからない。
どんな就職をしたらいいのかと考えていたら、友人が「将来を考えて、理学療法士の資格を取ろうと思う」と言っていたことに興味をひかれたんです。
医療の世界もいいな、と。
でも、今から医者とか看護師になるのは難しいし、病院で働きたいとも思わない。
理学療法士にもならなくていいと思えて。
もっと人の生活に近いところで働きたいと思っていたので、リハビリテーションを専門に行っているクリニックに、患者さんに応対するスタッフとして就職しました。
軽い気持ちだったかもしれないですね。
クリニックでは、腰や首などを傷めた方々に電気治療の機器を装着するお手伝いをしたり、お客様の案内をしたり。
患者さんに直接話しかけ、症状を軽減するお手伝いができるこの仕事は楽しかったですね。
母体になる医療法人もしっかりしていましたし、院長先生の奥さまがとても気さくな方で、院内の雰囲気もよかったのです。
3年ほどクリニックのスタッフをやったところで、医療法人として直営のデイサービスを開所することになりました。
クリニックの患者さんたちも年齢を経て、電気治療だけでは普段の生活を送るのがだんだん難しくなりますし、認知症の方などはご家族が大変、というのを目の当たりにしてきました。
また、病院で亡くなることが果たしてよいことなのか、という社会問題も提示される時代になってきました。
住み慣れた我が家でずっと過ごしたい、というお年寄りの声がクローズアップされてきた時期だったんです。
かといって、要介護の高齢者がずっと家にいるのは家族が大変ですし、本人も不活性になります。
勤めていた法人が、デイサービスの必要性を強く感じたのですね。
入社3年でデイサービスの管理者になる
このときに、院長の奥さまから「デイサービスのほうに来てくれない?」と誘われました。
私は、社会福祉主事の任用資格を取得していたんです。
大学で必要な科目の単位数を取り、卒業と同時に与えられていました。
この資格を持っていれば、デイサービスや介護施設などの管理者や生活相談員として勤務できます。
「せっかく持っているのだから生かしましょうよ」と強く言われました。
これまでは、ただの若手のリハビリスタッフでした。
日々の業務をこなしていればよく、責任もあまりありませんでした。
患者さんたちとお話したり、職員同士で協力したり、楽しく勤務していたので、思わぬ抜擢に驚き、戸惑いました。
介護の仕事をするのははじめて。
しかも、利用者さんのニーズや悩みを受け止めるだけでなく、利用者さん拡大なども含め、経営にも近くなります。
まだ25歳の私にできるのだろうか?
とても心配でしたが、奥様に「大丈夫、みんなでやっていきましょう」との言葉をいただき、背中を押されました。
これが、私が介護業界に入るきっかけです。
特に「介護をやるぞ!」と決心したわけでもなく、流れに身を任せていたらデイサービスの管理者と生活相談員になっていました。
それが今につながっているなんて、改めて人の縁の不思議さやおもしろさを感じます。
次回は、一度は在宅医療の世界に行きながらも、またデイサービス職員として勤務しようとするOさんの様子をお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
*O・Nさんの「私が転職した理由」…1回目、
2回目、
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