「その人らしさ」を重要視して、フレキシブルな介護を目指すRさん。とびぬけた力量で、周囲からも信頼されます。理想の介護を求めて、12年いた法人を退職するのですが、残念ながら次の職場ではうまくいきませんでした。最終回は、現在の心境を語ってもらい、今後の抱負も語っていただきます。
*R・Mさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
R・Mさん(35歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…14 年
●介護の仕事に就く前…書籍物流会社OL、アパレルの販売員
●転職回数…4回
●いままでの勤務先…老人保健施設、小規模多機能型居宅介護
●保有資格…介護福祉士、介護支援専門員
新たに小規模多機能を立ち上げようとしたが…
自分が本当にやりたい介護をやろうと思った職場で足をすくわれ、困惑していたときに、知り合いの宅労所の所長さんに、声をかけられました。なんでも、小規模多機能型居宅介護を立ち上げようとしているらしいのです。「うちの立ち上げの中心メンバーになってほしい」と言われ、二つ返事で承諾しました。
ずっとやりたくて立ち上げた小規模多機能居宅介護、ようやく形ができてきたのに、退職を余儀なくされている。そんなとき、「自分らしくやったらいいよ」と、また立ち上げを経験させてくれる場があることに、高揚しました。うれしい思いでいっぱいになりました。
しかし、運が悪かった。12年いた前の職場を退職し、いざ取り組むことになった矢先、建物を建てることになっていた土地の地主さんが、「やはり介護施設を建てるのはいやだ」と言い出したのです。そんな……。どう説得してもダメで、結局、諦めるしかありませんでした。そして、このプロジェクトがなくなるということは、私は働く場を失ったことになりました。
茫然としました。夢も、現実的な収入も失うのです。なんとかしなければ……。頭を切り替えて、既存の小規模多機能に就職しようと考えました。
働くなら、自分が2歳から住んでいるこの土地で。調べてみたら、小規模多機能は、この地域に2つしかありません。そのうちのひとつがちょうど管理者の募集をしていたので、迷わず面接を受け、採用してもらいました。
小規模多機能という場で「介護」を高めたい
現在は、1階が小規模多機能、2階がグループホーム、という施設の、1階の運営をすべて任されています。ようやく、自分が貫いてきた「その人らしさを中心に置いた介護」を、小規模多機能という舞台で実現できている……、と言いたいのですが(笑)。まだまだですね。
介護はチームワークなので、職員全員が同じ気持ちで職務に臨むべきものですが、技術や情熱にばらつきがあるな、と思います。それは、私の職員教育にもかかってきているので、彼らに向上してもらう方法を、もっと考えなければなりません。
その前に、職員として応募してくる人が少ないのも、悩みです。本当に今、介護業界に入って来てくれる人が少なく、私も管理者ではありますが、人手が足りなくて、毎日現場に入っています。現場の声をリアルに聞けることはとてもプラスになっていますが、その実務をとりまとめて調整したり、新たに理念を構築したりする時間がありません。人材不足の解消も、大きな課題ですね。
思い通りにいかないことも多いですが、当分ここで勤務して行こうと思っています。転職して1年半。そろそろ2年になります。最初の職場は12年いましたが、ほぼ2年ごとに異動になり、ひとところでじっくりと組織をまとめたことはありませんでした。立ち上げた小規模多機能は1年で退職することになり、理想だと思っていた宅老所での小規模多機能は頓挫し、今に至っているわけです。今度こそ、困難を潜り抜けて、ひとつの場で腰を据えて、実践を続けていきたい。3年以上続けたとき、一つの成果を感じ、また新たな課題を持ちながら、組織をまとめ上げていけるのではないかと思うのです。
管理者として、ようやく一人前になってきたのかもしれません。今の組織を作り上げ、さらに成長していきたい。介護の在り方も、ここでもっと高め、突き詰めていきたいですね。
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